史上最低視聴率を記録したNHK紅白の敗因 民放テレビマンは「入り中に頼りすぎ。自分たちの都合を優先させすぎでしょう」
昨年の大晦日に放送された「第74回NHK紅白歌合戦」の視聴率が史上最低を記録した(以下、視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯)。第1部(19:20~20:55)は29・0%で初めて30%を割り、第2部(21:00~23:45)は3年連続40%割れの31・9%で、一昨年に記録したワースト(34・3%)より2・4ポイントも下回った。(前後編の前編)
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【写真8枚】夢の競演? 低視聴率ながらも大きな話題となったシーン
歴代最低の原因はどこにあるのだろうか。民放プロデューサーに聞いた。
「音楽番組としての完成度は高かったと思います。社会的にブームになった新しい学校のリーダーズをトップバーターにしたのも良かったし、水森かおりのドミノ歌唱もベタな演出でしたが楽しめました。トリの前に登場したYOASOBIの世界的なヒット曲『アイドル』では、今回『紅白』に出場した日韓のアイドルたちはもちろん、司会の橋本環奈も“1000年の一人の美少女”と言われた奇跡のポーズで踊るという圧巻のステージでした」
それなら数字は上がるはずだ。
「もっとも、そのような演出も日本テレビの『ベストヒット歌謡祭』やフジテレビの『FNS歌謡祭』といった番組なら、という話。NHKの『紅白』は役割が違います。1年の締めくくりの番組であり、文字通り老若男女が茶の間で見守るお祭り番組です。『紅白』は本来、東京・渋谷のNHKホールからの生放送ですが、今年は特に隣接する放送センター内の別スタジオからの中継や入り中(外からの中継)に頼りすぎたため、NHKホールでの一体感やお祭り感が乏しくなってしまった。それが最大の敗因だと思います」
「紅白」は年々、凝った映像の演出など、別スタジオからの中継が増えている。今年は4番手のStray KidsからPerfume、すとぷりまでの3組が別スタジオからの中継だった。それ以降も、櫻坂46、BE:FIRST、milet(ミレイ)× MAN WITH A MISSION、伊藤蘭、ポケットビスケッツ&ブラックビスケッツ、薬師丸ひろ子、さだまさしなどもNHKホールでは歌わなかった。そして、天童よしみは大阪・浪速区の新世界、山内惠介は東京・台東区の浅草、星野源は港区の虎ノ門ヒルズの屋上からの中継だった。
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