組長の仕事は? なぜ抗争は終わらない? 山口組への「素朴な疑問」について徹底解説
「民主党を応援せよ」
Q8.政治家との関係はどうなっていますか?
戦前、ヤクザあがりの代議士が帝国議会でにらみを利かせる光景は当たり前でした。山口組二代目組長の山口登は政友会の大物・田中義一とは首相官邸への出入りを許される仲で、のちに首相となる犬養毅も後援。神戸の顔役として存在感を示します。
三代目の田岡は神戸港の復興に向けて運輸省をはじめ中央官庁との折衝に奔走しますが、その過程で、安倍首相の祖父である岸信介や後に首相となった佐藤栄作、建設相等を歴任した河野一郎ら有力政治家と親交を持ちます。「警察がある組事務所を家宅捜索したとき、その事務所から内閣が二つできるくらいの政治家の名刺が出てきた」といわれるほど、裏社会のドンとして密かに政財界と良好な関係を築いていたのです。
もとより、全国各地で地域に根を張る有力幹部や系列右翼団体が集票の取りまとめ、あるいはライバル候補への選挙妨害の面で政治家に重宝されたという事実もあります。近年においてもそうしたことがわずかに続いている片鱗をうかがわせたのが、民主党政権が誕生した総選挙で、「民主党を応援せよ」との内示があったと山口組大物組長が一部マスコミに漏らしたことでしょう。
「半グレ」との力関係
Q9.山口組と「半グレ」は敵対しているのですか?
ヤクザ組織を向こうに回して隆盛を誇った「関東連合」など半グレ集団の多くは、「準暴力団」として当局から集中摘発を受け、いったん壊滅するのですが、その後に、彼らが忌み嫌っていたはずのヤクザ組織と奇妙な共存共栄の関係を結ぶに至ります。両者の関係について、ある山口組幹部はこう解説してくれました。
「半グレの連中と山口組が盛り場のキャッチやぼったくりバー、飲食店の面倒見などでバッティングしていた時期もあるけど、いまは力関係次第かな。大都市でいえば、東京は最近摘発を受けた大規模キャッチグループも含めて住吉会系の有力組織が彼らを手なずけているし、名古屋や大阪は山口組の系列だね。力のある組織はカネ儲けに長けた半グレを大なり小なり後押しして、見込みのある者には『個人的な舎弟盃』を与えることもあるけど、正式な親子盃は交わしてないから(警察に暴力団員として)登録もされないし、互いにメリットがあるわけだ」
かつての暴走族あがりに代わって、元半グレが有力系列組織の人材供給源にもなっているようです。
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