組長の仕事は? なぜ抗争は終わらない? 山口組への「素朴な疑問」について徹底解説

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組長の仕事の内容とは

Q3.組織の運営はどうなされているのですか?

 現在の山口組は取締役会にあたる「執行部」(現在、10人)が組長の承認を得て運営にあたっています。そのなかでも子分の「長男」にあたる「若頭」の権限は絶大で、企業なら、最高経営責任者(CEO)にあたる役回りです。

Q4.組長の仕事は何ですか?

 組ごとの差配をするのが若頭とそれを補佐するメンバーなのだとしたら、組長は日頃、何をしているのでしょう。

 月に1回、総本部である神戸市内の「本家」に全国から直系組長が参集して開かれる「定例会」には組長が一同の前に姿を現します。ですが、会の冒頭だけです。もとよりトップが訓話を垂れることも何かを協議することもなく、「雲の上の人」である親分が「お目見え」することに意義があるとされます。天下の山口組の直参でいられる“栄光”を親分に感謝する場というわけで、組織の結束が目的です。

 また、執行部が決めた人事や方針は組長の承諾を得る必要があります。ただし、組長は象徴的な権威であり、身内にあっては「元気で居てくれるだけでありがたい」、組を束ねる精神的な指導者といっていいでしょう。

 対外的には、組織の代表者ですから、外交儀礼の場で雲の上の組長が「降りてきて」客人の応接にあたれば、最上級のもてなしとなります。

なぜこれほどの大組織に?

Q5.「ヤクザの2人に1人が山口組」といわれるほど組織が大きくなったのはなぜですか?

 中興の祖とされる三代目の田岡一雄といえば、高倉健が田岡役を演じて大ヒットした東映任侠映画「山口組三代目」(1973年)でご記憶の方もいるでしょう。

 田岡が組織原理として打ち出したのは「事業と軍団の分離」でした。これが敵対する警察当局からも「先見的」な戦略と称されたのは、配下の「企業舎弟」に港湾労務者を管理させる一方で、これら実業部門で稼いだ資金を抗争部門に惜しみなく「投資」することで、山口組が進出する先の地元勢力の度肝を抜く、組員の「大量動員」方式を確立することに寄与したからです。

 田岡が三代目を襲名した46年以降、山口組は「全国制覇」へとひた走り、60年代には日本最大の暴力団組織へと駆け上がるに至ります。主に昭和年間に業界の内外に印象付けられた好戦的な「山菱」ブランドが、今でも固有の経営資源となっているのです。

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