EDが「脳梗塞」「狭心症」「糖尿病」「認知症」の“予兆”の可能性も 厚労省認可の「ED治療器具」本当の評判

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前編【「ED患者3600万人」「セックスレス夫婦7割」時代の到来 25年ぶりの全国調査で明らかになった「性欲を全く感じない」20代男子“急増”の意外な背景】からのつづき

 ED(勃起不全・勃起障害)が、単に“男性器官の疾患”にとどまらない病気であることが、近年の研究で次々と明らかになっている。海外では成人病や認知症などとの相関関係まで指摘されるなか、治療法としては現在、「バイアグラ」などの薬やサプリメントが知られるのみだ。しかし最近、医療機関で“新たな選択肢”として提示される機会が増えている、厚労省が認定した話題の「治療器具」があるという。

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 今年、25年ぶりとなるEDの大規模調査「性機能障害の全国実態調査」を実施した、順天堂大学浦安病院泌尿器科教授で同調査委員長の辻村晃氏が語る。

「近年の海外の研究事例の一つに“脳梗塞患者の78%にED歴がある”との報告があります。脳血流の低下などが、血管障害に起因する認知症を引き起こすことはよく知られていて、EDと認知症の関連について指摘する研究者は増えています」(辻村氏)

 また“高血圧患者の63%にEDがあった”との報告とともに、“ED患者の18%で高血圧が見つかった”との研究結果もあるという。他にも「睡眠時無呼吸症候群の患者はEDに1.8倍なりやすい」とのデータや、糖尿病の男性のうち20~75%が「生涯で(ある程度の)EDを経験している」との調査報告もあるという。

「糖尿病の男性は、糖尿病でない男性に比べてED発症の割合が“2~3倍高くなる”との報告もありますが、なかでも注目を集めているのが、心血管疾患とEDとの関係です。実は心筋梗塞や狭心症とEDの発症メカニズムは同じで、心臓の冠状動脈疾患のハイリスク患者の80%以上が“3年以内にEDを経験していた”とする研究データが存在します」(辻村氏)

カギを握る「動脈の太さ」

 高血圧や糖尿病、肥満や加齢などによって血管が硬く(硬化)もろくなる(老化)ことで発症するとされるのが器質性EDだ。脳から「勃起しろ」との指令が下っても、血流が悪くなっているため陰茎動脈に血液がうまく流れ込まず、勃起障害を誘発――。

「心臓の冠状動脈で血管の詰まりが起きれば心筋梗塞や狭心症を発症するといったように、硬くなる動脈の場所の違いで、病名やリスク評価も変わってきます。血管が詰まりやすいかどうかは動脈の太さに関係しており、頸の動脈は直系5~7ミリ、心臓では3~4ミリですが、陰茎動脈の直径は1~2ミリほどしかありません。動脈硬化の影響は細い血管ほど早くあらわれるため、心筋梗塞や狭心症を発症した人は、すでに陰茎内で動脈硬化が進行しているケースが少なくないとされます」(辻村氏)

 つまり動脈硬化の影響が真っ先に出るのが陰茎動脈であり、EDがさまざまな病気を引き起こす「最初のサイン」と言われるゆえんだ。

 そのEDの治療法としては薬やサプリメントのほか、最近、医療機関の現場で注目されているのが、陰圧式勃起補助「Vigor(ビガー)2020」と呼ばれる医療器具という。

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