日テレ「傷だらけの天使」は半年、TBS「ありがとう」は1年だった…連ドラの放送期間が「3カ月」になった事情

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海外市場では不利な3カ月単位

 坂元裕二氏(56)が脚本を書いた日本テレビ「Mother」(2010年)は海外で評判が高かったものの、全11回しかなかった。このため、そのままの輸出は実現せず、ドラマ大国のトルコのテレビ局がリメイク・フォーマット権を購入した。

「Mother」のトルコ版は実に全85回。こちらは放送回数が多いから売りやすく、40カ国以上に販売された。日テレ版も20~30回かそれ以上あったら、そのまま輸出されたに違いない。

 今年最大のヒット作となったTBSの夏ドラマ「VIVANT」も海外テレビ局の番組バイヤーから絶賛されたものの、いまだ販売は実現していない。拡大版があったとはいえ、全10回と短いことが大きな理由だろう。Netflixでの世界配信に留まっている(日本国内のみで利用できるU-NEXTはTBS系列)。

「VIVANT」は繰り返し続編制作決定の声が上がるが、実際には白紙。福澤克雄監督(59)も明言した通りである。続編づくりの最大のネックは1話約1億円の制作費だ。ただし、海外で売れたら、その収入によって、状況は大きく動く。

 現在放送中のドラマで3カ月単位でないのは、来年3月まで放送予定のテレビ朝日「相棒 season22」(水曜午後9時)のみ。日本のドラマ界をガラパゴス化させないためには「ドラマは3カ月」という慣習をあらためるべきではないか。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。放送批評懇談会出版編集委員。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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