「娘は先輩の“指導”で精神科に通い、自殺も考えた」「お風呂は多くて週に2、3度しか」 宝塚の「凄絶いじめ」の実態をOG、団員の親が告発!【スクープその後】

国内 社会

  • ブックマーク

「娘は精神科に通い、自殺を考えたこともあると…」

 だが、最近まで娘が宙組に所属していた元団員の父親はこう明かす。

「娘が音楽学校に受かった時は本当にうれしくて、私も宝塚まで合格発表を見に行ったほどでした。ですが娘は、退団の道を選ばざるを得ませんでした。その主な原因の一つが、Aさんも苦しんだという先輩たちからの厳しい“指導”です」

 続けて言う。

「先輩たちは娘を厳しい言葉で何度も責め、難癖つけて“指導”を行い、寝ることをまったく許さなかったそうです。学校時代には深夜まで反省文も書かされていたとか……。娘は将来を期待されていたのですが、それがよくなかったのでしょう。目立つ者は“指導”という形で、足を引っ張られるのが当たり前の世界のようです」

 過酷さの一端は以下のような具合だ。

「劇団へ上がると、深夜にまで稽古が及ぶうえ、その後に資料や小道具を作り、さらにファンレターの返事も書かないといけない。研究科(入団)1年目から辞める直前まで、毎日30分から1時間程度しか、まともにベッドで眠れなかったそうです。心身に支障をきたすのは当たり前です。娘も精神科に通いましたし、倒れて救急車で運ばれたこともありました。また、自殺を考えたこともあると……」

「娘は“コンビニで働く方が時給は高い”と嘆いている」

 別の現役団員の母親は、背景に劇団の不当な労働環境があると訴える。

「給与は新卒のOLほど。自主稽古の時間は労働時間と見なされないため、娘たちは“コンビニで働くほうが時給は高い”と嘆いています。そのうえ舞台で使用するものなのに、メイク道具や娘役のカツラもすべて自腹。1公演でいくつものカツラをつける娘役には大きな負担です。ファンの方々が差し入れでメイク道具をくれることもありますが、団員の多くは親から金銭的な援助を受けています」

 少なすぎる「睡眠時間」についても嘆息する。

「新人公演は研究科7年目まであります。新人公演の準備期間中、娘たちは18時半の本公演終了後、だいたい20時ごろから稽古を始める。練習は日々深夜まで続き、特に初舞台の際などは深夜1時に帰って、朝5時に家を出るという生活を毎日のように送っていました。家に帰って来てから翌朝までのわずかな時間を、稽古で使う大道具や小道具を作る時間に充てていましたので、実際にはほとんど眠っていなかったはずです」

 一連の問題について、宝塚歌劇団の木場健之(こばけんし)理事長(60)に直接質したが、

「何も答えられません」

 先の東さんは憤りを込めてこう語る。

「そもそもエンターテインメントだからという理由で搾取や暴力が許されるということは決してあってはならない。ジャニーズ問題のように、みんなが知っているけど声を上げられないという時代はいい加減、終わりにしないといけない。今こそ宝塚は、伝統という名の暴力と決別すべきではないでしょうか」

 2023年11月14日、宝塚歌劇団は木場理事長(当時)が記者会見を実施し、外部弁護士9名による調査結果を公表するとともに、辞任を表明した。

 ここでは、労働環境に問題があることは認めたものの、上級生によるAさんへのパワハラについてはおおむね否定。

 そのため、遺族側は強く反発を示した。

 その後、両者の話し合いに一定の進展があったとのことで、宝塚歌劇団は、12月20日には公式HPで次のように発表している。

「12月19日(火)に、当方代理人を通じて、今回の件に関するご遺族代理人との二回目のお話し合いをさせていただきました。弊団としましては、11月10日に受領した調査報告書の内容のみにとどまることなく、ご遺族代理人からの意見書や12月7日に行われたご遺族代理人の会見の内容等も踏まえ、事実関係の精査等を行ったうえでの現時点の見解をお伝えし、一定のご理解をいただくことができたと考えております。

 引き続き、ご遺族のお気持ちやお考えを真摯に受け止め、誠実に協議してまいりたいと考えております」

 もっとも、遺族側は親会社の阪急阪神ホールディングスの責任についても言及しているのだが、トップの角(すみ)和夫会長からの謝罪の言葉はいまだ聞こえてこない。

 悪しき伝統との決別はできるだろうか。

 ***

■相談窓口

・日本いのちの電話連盟
電話 0570・783・556(午前10時~午後10時)
https://www.inochinodenwa.org/

・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
電話 0120-279-338(24時間対応。岩手県・宮城県・福島県からは末尾が226)
https://www.since2011.net/yorisoi/

・厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」やSNS相談
電話0570・064・556(対応時間は自治体により異なる)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html

・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)
https://jscp.or.jp/soudan/index.html

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。