1月スタート「大病院占拠」続編 櫻井翔で高いコア視聴率が生む“皮肉な構図”とは

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視聴率とCM売上高の順位は一致しない

 一方で櫻井は、コア層には人気が高い。バラエティの司会もやるからだろう。このため、ドラマに主演すると、おのずとコアが高くなる。一方で演技力への支持ではないから、ミドル層、シニア層からは苦言を呈される。皮肉な構図だ。

「民放がどうしてそこまでコアに拘るのか分からない」という人もいるはず。しかし、コアが民放の収益を大きく左右する時代になっているのは動かしようのない事実なのだ。

 まず、主要民放4局の個人全体視聴率、2022年度プライムタイム(午後7~同11時)での順位を見ていただきたい。世帯視聴率はテレビ界から消えている。

【2022年プライム帯の個人全体視聴率】
1位 テレビ朝日 5.6%
2位 日本テレビ 5.4%
3位 TBS    4.2%
4位 フジテレビ 3.8%

 テレビ朝日が日本テレビを上回っている。ところが、CM売上高では逆転する。

【CM売上高】
1位 日本テレビ 約2369億800万円
2位 テレビ朝日 約1791億4100万円
3位 TBS 約1628億8500万円
4位 フジテレビ 約1603億8000万円

民放がコアに拘る理由

 CM売上高で逆転する理由は、日本テレビのコアがテレビ朝日よりもかなり上だから。昨年度のプライム帯のコアを見ていただきたい。

【プライム帯のコア視聴率】
日本テレビ 4.7%
テレビ朝日 2.8%
TBS    3.1%
フジテレビ 3.0%

「視聴率の時代は終わった」などという見方は完全にフィクション。民放の収益の柱であるCMの価値は視聴率で決まるのだから、その時代が終わるはずはない。近年は特にコアが問われている。なぜ、コアが求められるかというと、大スポンサーにゲーム会社、配信動画会社などが並ぶからだ。

 視聴率は社員の収入にも直結する。不振の局は冬のボーナスが大幅減額された。TVerなどの無料動画が収益の新たな心棒になっているとの指摘もあるが、実際の売上高はCMの30~50分の1に過ぎないのである。

「じっくり観られるドラマが減った」と嘆く大人の視聴者は多い。それは局側がコア層向けのドラマを中心につくっているから。「XXX占拠」がヒットしたら、ミドル層、シルバー層が相容れないドラマはますます増えるだろう。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。放送批評懇談会出版編集委員。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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