1月スタート「大病院占拠」続編 櫻井翔で高いコア視聴率が生む“皮肉な構図”とは
日本テレビは1月13日から、嵐の櫻井翔(41)が主演するドラマ「XXX占拠」(23年12月末時点の仮タイトル、土曜午後10時)を放送する。昨年の冬ドラマ「大病院占拠」の続編だ。通常、続編がつくられるのはヒット作なので、発表後は歓迎ムードに包まれるが、このドラマに限っては反感も強い。なぜか? それでも日本テレビが続編を制作する理由も解き明かす。
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コア視聴率が抜群だったので続編制作
「『大病院占拠』の続編制作は昨年3月の放送終了時点で決まっていた」と日本テレビ関係者は語る。理由は単純明快。視聴率が抜群に良かったからだ。
「そんなに高視聴率だったか?」と訝る人もいるだろう。全10回の平均個人全体視聴率は4.3%(世帯7.1%)。確かに、ここまでは並みの数字だ。しかし、民放の収益を大きく左右するコア視聴率(13~49歳の個人視聴率)が抜群によかった。
ストーリーが終盤に入った昨年3月4日放送の第8回のコアは4.2%。特にT層(13~19層)の個人視聴率は5%を超え、TBSの夏ドラマ「日曜劇場 VIVANT」も上回るほどのハイアベレージだった。大抵のドラマはコアが1~3%台、T層は1%以下から2%台に過ぎない。
昨年の冬ドラマでコアのトップはTBS「日曜劇場 下剋上球児」(日曜午後9時)。12月3日放送の8回は3.2%。T層は2.2%だった。比較すると、いかに「大病院占拠」が若者にウケたかが分かる。ちなみに「下剋上球児」の個人全体は6.6%(世帯9.9%)。ミドル層とシニア層には支持されている。
3世代が揃って楽しむことはほぼ不可能
「大病院占拠」はどうして若者にウケたのか? 医師たちに恨みを抱く人間が、鬼の覆面を被って復讐を目指すストーリーで、リアリティはないに等しかった。一方で犯人たちと武蔵三郎警部補(櫻井)ら神奈川県警捜査員たちの攻防がほぼ絶え間なく映し出され、病院側や県警側の裏切り者探しの考察も用意された。まるでゲーム感覚。これが若者には歓迎されたのだろう。
映像は派手。アップテンポのBGMがほぼ常時流れた。これもゲーム感覚だった。好むと好まざるとにかかわらず、日本テレビの発明と呼んでいい新しいドラマだった。ゲームに慣れ親しんだ若者に合ったのはうなずけた。
半面、ストーリーは荒唐無稽と言っても過言ではなく、テーマもメッセージもほとんどなかったから、ミドル層、シニア層は受け入れ難かったに違いない。この層が酷評したのも無理はない。
だから続編決定の報道に非難の声が上がったのだろう。声の主の中心はミドル層、シニア層が中心だったはず。3世代が揃って楽しむことはほぼ不可能に近いドラマなのだ。そもそも日本テレビだって、幅広い世代に観てもらえるとは考えていないだろう。
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