年末の大掃除で「見つかる」ことも…昭和のおもちゃ“ソフビ”が2600万円で落札される裏事情 「造形のゆるさ」に癒される海外のファンも急増中
投機目的で買うのはおすすめしない
――あらゆる作品が人気とのことですが、ポピーの「ジャンボマシンダー」シリーズは、「仮面ライダー」も「マジンガーZ」も軒並み高くなっていますし、別格ではないでしょうか。
藤田:ジャンボマシンダーはもともと現存数が少なかったので、希少性という観点からお金を出す人が増えた印象です。ソフビのファン以外にも、投機目的で買い求める人も一定数いると思います。ジャンボマシンダー以外にも、この数年で4~5倍の価格上昇は普通に起こっています。2020年に当店が6万円で販売した「流星人間ゾーン」のソフビが、今年、まんだらけ京都店で40万円で売れたほどです。「仮面ライダーストロンガー」のソフビも2~3万円くらいで買えたものが、今では10万円くらいになっています。
――ここまではっきりと価格の上昇がみられると、ポケモンカードのように投機目的で買い求める人が増えそうですね。
藤田:もちろん楽しみ方は人それぞれですから否定はしないのですが、投機目的で買うのはあまりおすすめしません。作品が好きとか、形がかわいいとか、そういう純粋な目的で集めたほうがいいと思いますよ。好きという気持ちでコレクションを始めたほうがストレスもありませんし、健全ではないでしょうか。
パチソフビがもつ造形の面白さ
――僕がソフビで面白いと思うのは、正規品ではないいわゆる紛い物“パチソフビ”も人気がある点です。ブランドバッグや高級腕時計などでは偽物は論外ですが、ソフビは偽物にまで価値を見出す人がいる。これは興味深い傾向だと思います。
藤田:先ほど、ヴィンテージソフビの魅力に造形の“ゆるさ”があるとお話ししましたが、パチソフビはさらにゆるいんですよ(笑)。その作りの甘さがマニアのツボにハマるんだと思います。パチソフビはあらゆるソフビの中でも特にニッチですが、根強いファンがいますし、そもそも物が出ないんです。おそらくデパートなどでは販売されず、個人経営のおもちゃ屋か駄菓子屋などで売られていたのでしょう。店頭でも在庫になったら真っ先に処分されたでしょうから、残らないんですよね。
――“ゆるさ”はソフビを愛でるポイントですが、確かにパチソフビは表情も身体も、どうしてこうなったと突っ込みたくなるようなコレジャナイ感があります。ビックリマンシールも“パチシール”が人気ですが、同じような理由なのかなと思いました。
藤田:ブランド品の偽物は、買い手を騙すため、いかに忠実に作るかに心血を注ぎますよね。対して、パチソフビって真似しようと努力したのかもしれないけれど、全然真似できていないんですよ(笑)。そういう愛くるしさも魅力の一つではないでしょうか。
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