年末の大掃除で「見つかる」ことも…昭和のおもちゃ“ソフビ”が2600万円で落札される裏事情 「造形のゆるさ」に癒される海外のファンも急増中

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ソフビの“ゆるさ”にハマる人が続出

――スコットランドから秋葉原までやってくるとは凄いですね。世界中の人々を魅了してやまない、ヴィンテージソフビの魅力はどこにあるのでしょうか。

藤田:ヴィンテージソフビは、現代の創作ソフビには出せない独特の雰囲気があります。彩色も一体一体違うし、復刻版では出せない年月を経た風合いも感じられます。なかには、10年に一度巡り合えたら幸運――、というほど、手に入れること自体が難しいソフビも存在します。

――これだけの条件が揃えば、欲しい人が多くなる理由がわかります。

藤田:あと、ヴィンテージソフビには、独特の造形の“ゆるさ”があるんです。ブルマァクというメーカーが作っていたウルトラ怪獣のソフビが典型なのですが、ゼットンなんか、一番怖い怪獣であるはずなのに、ボディーの色が水色だったりするんです(笑)。これは子どもが好む色を選んで塗装したためなのですが、劇中の雰囲気とまったく違っていて、どこか愛らしさすら感じてしまう。ポップな色合いは現代アートのような趣もあります。また、「ウルトラマン」や「仮面ライダー」のヒーローの顔も、現代ほど精巧にはできていないので、そこに“癒し”を感じる人もいます。

――確かに、ヴィンテージソフビを見ていると、表情一つとっても愛嬌がありますね。有名なガラモンのソフビも、どこかファンシーといいますか……

藤田:そんなソフビをショーケースに並べて飾ったら、かわいいじゃないですか(笑)。「秘密戦隊ゴレンジャー」の5人を全員揃えるためにはお金も時間も掛かりますが、揃った時の達成感は特別なものがありますし、何より飾った時に映えますからね。そして、多くのファンはそこで終わらず、次のヒーローを集めようと考え始めるのです。ソフビは様々な楽しみ方がありますし、人によって集めているものもバラバラですが、それだけコレクターの目が肥えて、嗜好の幅が広がったといえると思います。

ソフビコレクターの実態

――ヴィンテージソフビというと、「ウルトラマン」などをリアルタイムで視聴していた50~60代くらいのファンが多いのかなと推測してしまうのですが、実際の購入者の年齢層はどのようになっていますか。

藤田:メインは30~50代で、20代の若い人もいますし、増えています。20代のコレクターは昨今の昭和レトロブームと近い感覚で見ているのかもしれませんし、YouTuberの影響もあると思います。YouTubeでソフビについて語る人は、コロナの自粛開けから特に増えた印象を受けますし、当店も多くのYouTuberのみなさんに紹介していただいています。

――「ウルトラマン」や「仮面ライダー」「マジンガーZ」など様々な作品のキャラクターがソフビになっていますが、もっとも人気のある作品はなんでしょうか。

藤田:どれかが突出して人気があるとかではなく、今挙げていただいたタイトルは全部人気がありますね(笑)。ヒーローや特撮系は人気がない作品が見当たらないほどです。「アンパンマン」のソフビも人気がありますが、これは希少性が桁違いです。本来のターゲットの客層は2~3歳で、一番やんちゃに遊ぶ年頃じゃないですか(笑)。だから、きれいなものが残っていないんですよ。ましてや、新品やデッドストックを探すのは至難の業です。

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