年末の大掃除で「見つかる」ことも…昭和のおもちゃ“ソフビ”が2600万円で落札される裏事情 「造形のゆるさ」に癒される海外のファンも急増中
ソフビが空前の人気
いま、マニアの間で「ウルトラマン」や「仮面ライダー」、「マジンガーZ」などのソフトビニール人形、いわゆる“ソフビ”が高値で取引されている。2023年1月、「まんだらけオークション」に出品された「マジンガーZ」の機械獣・ガラダK7が、なんと2610万円で落札された。家が買える金額だが、もともとは子どものために作られたおもちゃである。「なぜこんなに高いの?」と驚く読者も多いのではないだろうか。
【写真】あなたの家にも眠っているかも? オークションで2600万円以上の値がついたソフビ人形
実は、芸能人の間でも空前のソフビブームが起こっている。YouTubeでは作田“ブルースカイ”晴男ことバッドボーイズの佐田正樹氏やイジリー岡田氏などのお笑い芸人が、ソフビをコレクションしていると明かす。ゲーム実況のトップYouTuberであるレトルト氏も、Instagramで自慢のコレクションを紹介しているのだ。
そんなソフビファンが足しげく通う店が、秋葉原にある「まんだらけCoCoo(こくう)」である。12月17日に行われた開店4周年の記念イベントには、約400人のファンが列を作った。なぜ、令和の時代にレトロ感が漂うソフビが人気なのか。そして、いったいどんな客層が買っているのか。気になる現状と今後の動向について、店長の藤田哲平氏に話を聞いた。
なぜソフビ人気に火が付いたのか
――ソフビはコレクターズアイテムとして以前から人気はありましたが、近年は価格の高騰が顕著です。「まんだらけオークション」を見ていると、箱付で状態のいいソフビとなると、数十万円で落札されることはザラで、3桁を超えることも珍しくありません。これほど人気が高まったのは、いつ頃からなのでしょうか。
藤田:数十年前に作られたいわゆる“ヴィンテージソフビ”に関しては、コロナ禍が始まった2020年頃、人気に火が付きました。その前まで盛りあがっていたのは、個人のクリエイターが制作する“創作(インディーズ)ソフビ”です。ところが、コロナ禍が起こり、ソフビを販売するイベントが軒並み中止に追い込まれてしまいました。その間、海外のコレクターが日本のソフビを研究する過程でヴィンテージソフビの存在を知り、買い漁るようになったのです。
――海外でも日本のソフビが人気というのはびっくりですね。実際、今日も店内を見渡すと外国人の姿をちらほらと見かけます。
藤田:日本のおもちゃは品質の高さから海外でも人気があります。2017年頃、僕が香港を視察したときはヴィンテージ玩具の流行は超合金が中心でしたが、今では、お金持ちがみんなソフビに流れています。メキシコでもソフビが流行り始めたと聞きますし、当店には海外のYouTuberも来店されます。今年、「スペクトルマン」が好きなスコットランドの女性が、放送当時に作られたソフビがどうしても欲しいと言って、当店をわざわざ訪れてくださいました。
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