「“2代目”になりたいなどという気持ちは…」鈴木香里武が目撃したさかなクンのスゴさ

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「カイワリ」「ハダカイワシ」の生きざま

 面白い生きざまの幼魚として、「カイワリ」がいる。

「カイワリというアジ科の魚は、幼魚のとき、クラゲに寄り添って過ごします。クラゲの触手には毒があるので、一緒にいると大きな魚が近づいてこないという利点があるのです。でもカイワリ自身もクラゲに刺されたり、捕食されたりする危険性が常にある。いわば、自分の命を懸けながら、クラゲに頼っているんです。人間の場合、他人に 頼るということは甘えだったり、弱いがゆえだと思うかもしれませんが、カイワリを見ていると他人に頼ることは勇気のある行動だということが分かります」

「ハダカイワシ」の生きざまもすごいという。

「昼間は深海にいて、夜はエサを求めて浅瀬に出てくるということを毎日繰り返しています。深い海を行き来している間に、色々な海層で攻撃されるため、様々な魚のエサになります。他の魚の栄養になるということも、海の中では1つの重要な役割です。その一方で、浅瀬のプランクトンなどの栄養やミネラルなどを深海へと運ぶ役割も担っており、自らが海の中を行き来することで海のエネルギーを循環させています。ハダカイワシという名前からも分かるように、小さくて弱い魚なので他の魚に攻撃されるたびにウロコが取れてぼろぼろになってしまうんです。自らを犠牲にしながら、海のバランスを調整している。小さくて弱いけど、大きな仕事をしているんです」

さかなクンのすごさ

 魚の知識を面白く伝えてくれる人といえば、タレントのさかなクンがいる。

「さかなクンは本当に偉大な存在なので、恐れ多くて2代目さかなクンになりたいなどという気持ちは到底浮かんできません。子どもの頃、テレビでさかなクンの姿を見て憧れた僕は、ツテをたどって会いに行きました。僕みたいな魚マニアの子どもが当時としては珍しかったのだと思うのですが、それ以来『こざかなクン』と言って可愛がってくれて、一緒に海や水族館に行ったりしたこともあります。一緒に魚を観察するうちに、魚との対峙の仕方、魚を種ではなく、個として見るという姿勢を学ばせてもらいました」

 さかなクンのすごさを表すエピソードがある。

「ある時、一緒に水族館に行ったら、カクレクマノミが30匹くらいいる水槽の前で、さかなクンが『この子、半年前にもいた』って言ったんですよ。どうしてそんなことが分かるんですかと聞いたら、『クラスメイトの顔を見たらすぐに分かるでしょう。それと同じこと』と言われて、すごく驚きました。カクレクマノミという魚の種類で見ているのではなく、一匹一匹のことを個として見ているんだなと思いました」

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