「“2代目”になりたいなどという気持ちは…」鈴木香里武が目撃したさかなクンのスゴさ

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“卒魚式”で涙する人も “令和のお魚王子”が作った「幼魚水族館」唯一無二の魅力】のつづき

“令和のお魚王子”と呼ばれる鈴木香里武(かりぶ)さん(31)は、静岡県駿東郡清水町にある「幼魚水族館」の館長を務める。大先輩のさかなクンとの関係や、“岸壁幼魚採集家”となるまでの意外な歩みを聞いた。(全2回の2回目)

心理学を学んだ理由

 香里武さんは、館長として業務を行う一方で、北里大学大学院の博士後期課程で海洋学を研究している。学部時代は、海洋学ではなく心理学を学んだ。

「小さい頃から休みになると、両親と一緒に都内の自宅から関東近郊の漁港や浜辺に遊びに行き、採集した魚を家で育てていました。魚好きの子どもだったので、将来の夢は海洋学者で、特に深海の研究をしたいと思っていました。当時は深海の図鑑も無かったので、未知の世界に惹かれたんです。ところが、高校2年生の時に、自分がやりたいことは海の生物の研究ではなく、その面白さを人に伝えることだと気づいたんです。人と魚の関係を作るために、まずは人の心を知ろうと心理学科に進路を変えました」

 特徴的な金髪とセーラー服姿は、高校生の頃から貫いている。

「海とか魚について伝えるのに合った格好は何だろうかと考え、水兵さんが着るセーラー服を特注で作りました。髪形は、キャラづくりというよりも、急に黒髪が嫌になったんですよね。学校ではおとなしく真面目に過ごしていたので、金髪で登校すると先生は驚いて、職員会議まで開かれました。両親は自由な考えの人なので、特に小言を言うこともなく、父親は『銀髪にしてみたかったのに、先を越された』と悔しがっていたくらいです」

魚の癒し効果を研究

 高2の時に決めた進路に従い、学習院大学文学部心理学科から同校の大学院に進み、観賞魚の癒し効果について研究した。

「よく『水族館に行くと癒される』と言いますが、なぜ癒されるのかといったことについてまで考えることはあまりないと思います。魚の色にカラーセラピーの効果があったり、ゆったりした動きや模様にも見ている人の心を癒す力があるのではと考え、研究をしていました。動物との触れ合いで人が癒されるアニマルセラピーというものがあります。犬や猫と違って、魚は直接触れ合うことができないですが、だからこそ程よい距離感で癒してくれる“フィッシュヒーリング”の効果があると思います」

 現在は、魚に興味のない人に関心を持ってもらえるよう、様々な方法でその魅力を伝えるべく活動している。

「どうやったら魚のことを身近に感じてもらえるかを日々考えて発信しています。その中で、体が小さくて弱い幼魚がどのようにして過酷な海の中で生き延びているのかという“生きざま”に注目しています。人と魚は住む環境が違いますが、魚の生きざまから学ぶことがあると思うんです」

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