“卒魚式”で涙する人も “令和のお魚王子”が作った「幼魚水族館」唯一無二の魅力

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冬だから見られる幼魚

 いまは、香里武さんにとってワクワクする時期だという。

「海水温が下がる冬は、リュウグウノツカイやアンコウなどの深海魚の幼魚が浅瀬で見つかります。普段は深海にいる生物が、産卵などの目的や、深海から上に向かって流れる湧昇流に巻き上げられるなどして、浅瀬まで上がって来るんです。深海は幼魚にとって過酷な環境なので、海水温の下がる冬は浅瀬でプランクトンを食べ、成長したあとに深海に下りていきます。海は世界中と横に繋がっていますが、深海と我々が触れられる浅瀬は縦にも繋がっていることを実感できます」

 現在、幼魚水族館では、深海生物を展示する水族館を舞台にした漫画『マグメル深海水族館』(椙下聖海・新潮社刊)とのコラボレーション展示が開催中だ。漫画の舞台は、2030年にオープンした東京湾の水深200メートルにある「マグメル深海水族館」。この水族館で働く主人公・天城航太郎が仲間と共に、生き物の生と死に真摯に向き合い、成長していく物語である。

「『マグメル深海水族館』は、海の生き物とどう向き合うのかということだけでなく、海の命を通した人間同士の関係も描かれているところが好きなポイントです。水族館で働く人やそれを目指す人にも読んでもらいたい漫画です。漫画のように深海まで潜って行って深海生物を観察することは今はまだ技術的に出来ないですが、深海魚の幼魚であれば、『幼魚水族館』で観察することができます」

「“2代目”になりたいなどという気持ちは…」鈴木香里武が目撃したさかなクンのスゴさ】に続く

デイリー新潮編集部

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