「歌舞伎界から孤立」「客寄せパンダに見えてしまう」 市川團十郎の将来を憂う声が
「歌舞伎界から孤立」
「京都の『顔見世』における配役を見ても、團十郎さんは自分の一門でほぼ固めてしまっています。やはり襲名前から、歌舞伎座に出る機会が少なかったことが影響しているのでは」
と話すのは、早稲田大学教授の児玉竜一氏である。
「團十郎さんにはせっかく華があるんですから、本来は歌舞伎界全体を盛り上げるためにも、他の家の先輩、同世代らと手を携えるべきなんです。古典の伝統的な演目は一人でできるものではなく、歌舞伎座に出ないと重鎮や他の役者から教えを乞う機会が減り、役の幅を狭めることにつながってしまう。團十郎さんはお子さんと一緒に、自主公演や新作歌舞伎には非常に熱心に取り組み、ジャニーズタレントを招いた舞台でも話題を集めましたが、それでは自分の一座が目立つばかり。ますます歌舞伎界で孤立してしまわないか心配です」
「客寄せパンダに見えてしまう」
歌舞伎に造詣が深い作家の小谷野敦氏はこうも言う。
「自身の公演で間口を広げる取り組みは悪くないと思いますが、團十郎が息子たちを前面に出し過ぎていて客寄せパンダのように見えてしまうし、俺がうまければそれでいいという印象さえ受けます。上の世代には片岡仁左衛門や玉三郎など歌舞伎界全体をけん引する存在がいましたが、市川猿之助が不在の今、團十郎は孤立している場合ではなく、歌舞伎役者をまとめる存在にならないといけない」
改めて歌舞伎座公演を束ねる松竹に見解を問うと、
「歌舞伎座公演については全国を回っての襲名披露公演が続く中、今年は市川團十郎とも十分相談の上で5月、7月にも出演をいただきました。何卒ご理解を賜りたく存じます」
重鎮のいる大舞台を避けて内輪で小銭稼ぎに精を出すようでは、「千両役者!」と呼び声がかかる日など、まだはるか先になりそうである。
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