立教大学駅伝・上野監督が解任された“本当の理由” 各社が報じなかった部員との「不適切な関係」とは【スクープその後】
立教大学・上野監督解任の「全真相」(前編)
第100回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)に出場する立教大学。今年10月、週刊新潮が上野裕一郎前監督(38)と現役部員との不倫関係を報じると、立教大学は上野氏を解任し、その後、上野氏は現役選手として実業団に加入したことが分かった。改めて騒動を振り返ると――。【前後編の前編】
(以下、「週刊新潮」2023年10月19日号をもとに加筆・修正しました。日付や年齢、肩書などは当時のまま)
少子化が進む中、程度の差こそあれ、学生の確保に頭を悩ませる全国の各大学。とりわけ私大は生き残りを懸け、あの手この手でかき集めに必死だ。その手っ取り早いツールのひとつが体育会の強化である。野球やラグビーなど注目の集まる競技を強化し、大学の知名度を高めて学生を呼び込む――。中でも近年、最もその効果を期待されているのが箱根駅伝。正月の風物詩に出場を果たせば、2日間にわたって大学の名がテレビ画面に映り続け、番組視聴率は20%超。宣伝効果は抜群というわけなのだ。
立教大学はその成功例のひとつだ。セントポールの愛称で知られる六大学の名門はかつて箱根路の常連で総合3位に入賞したことも。しかしその後は低迷し、半世紀以上の間、正月に「江戸紫」の襷をつなぐことができなかった。そこで5年前、大学は「立教箱根駅伝2024」事業をスタート。大学創立150年に当たる2024年、100回目の記念大会を迎える箱根駅伝への出場を目指し、5億円を目標に寄付を募って強化に励んだのである。
選手より速い監督
上野裕一郎監督の招聘(しょうへい)はその目玉だった。上野氏は長野県出身で佐久長聖高校入学後、本格的に陸上を始める。中央大学に進学した後は、箱根に4年連続出場し、区間賞も獲得。実業団ではエスビー食品、DeNAに進み、世界陸上の5000メートル代表に選出されたこともある有力選手だ。彼の就任後、同大は着実に力をつけ、昨年秋の箱根予選会では見事6位に入賞。計画より1年早く、今年1月の箱根に55年ぶりの出場を果たし、大学名を大いに高からしめたのである。
「彼の指導の特徴のひとつは、本人が選手と一緒に走るという点です」
と解説するのは箱根を取材するスポーツライター。
「監督自身まだ若く、選手より速いくらい。普段の練習で一緒に走っていますから、他の指導者とは違ってより選手と近い距離で接することができるのです。加えて自主性を重んじ、選手各々の判断に多くを任せています」
就任から4年での箱根出場についても高く評価する。
「近年、留学生がいない中で箱根の予選会を突破することはかなり難しくなっているのですが、その中で日本人のみ、しかも1~3年生主体のチームで突破したことは快挙でした」
正月の箱根では総合18位に終わったためにシード権は獲得できず、チームは今日開催される予選会に2年連続の出場を懸ける。
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