「箱根駅伝中継」はかつてテレ東が放送していた…お正月の超人気番組に育てた日テレ“驚異の演出力”とは

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 正月の風物詩「東京箱根間往復大学駅伝競走」(箱根駅伝)が100回目を迎える。1987年に始まった日本テレビによる生中継は37回目。1月2日の往路も同3日の復路も例年15~19%前後の極めて高い個人視聴率(世帯視聴率26~30%超、ビデオリサーチ調べ、関東地区)をマークする。どうして箱根駅伝中継は人気なのか。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】

ショーアップしないのが鉄則

 2022年から23年の年末年始番組(12月28日~1月3日)の視聴率ベスト3はこうだった。

1位:12月31日・NHK「第73回紅白歌合戦 2部」
個人26.0%(世帯35.3%)

2位:1月3日・日本テレビ「第99回箱根駅伝中継 復路」
個人17.9%(世帯29.6%)

3位:同2日・同「第99回箱根駅伝中継 往路」
個人16.7%(世帯27.5%)

 箱根駅伝中継は強い。2021年1月3日の復路では史上最高値の個人19.8%(世帯33.7%)を記録した。ジリ貧の「紅白」をいつ追い越しても不思議ではない。怪物番組と言っていい。

 その人気の秘密を日テレのスポーツ局や編成部門の関係者らに尋ねたところ、返ってきた答えは拍子抜けするくらい地味なものだった。だが、この番組の神髄が凝縮されていた。

「下位校による『繰り 上げスタート』、10位までの『シード権争い』を絶対に伝える。選手全員が主人公だから、先頭集団ばかり追わない」

「選手の出身地、出身高はテロップなどでしっかり伝える。郷里から声援を送る人たちの存在を決して忘れてはならない」

 選手本位、競技本位に徹し続けていることが成功に結びついているという。そういえば箱根駅伝中継にはタレントが一切出てこない。アンバサダー(使節)みたいな存在もいない。「ショーアップしない」という伝統もあるからだ。これを守り抜いていることも正月の風物詩となった理由の1つに違いない。選手たちの力走と沿道の応援を伝えることに専念したことが、正月の厳かな雰囲気に合った。

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