桶川市長が美空ひばりに、川口市長が吉田拓郎に…「埼玉の奇祭」がYouTube配信で全国区へ
元日のゴールデンタイムに放送
映画「翔んで埼玉」第2弾のヒットに沸く埼玉県で、他県に例を見ない個性的なイベントが今年も行われた。その名も「埼玉政財界人チャリティ歌謡祭」。場所は約2500人収容の大宮ソニックシティ大ホール。
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「『埼玉の奇祭』としてSNSでも話題になります」
大野元裕知事(60)自らが語るように、X(旧ツイッター)では「埼玉の奇祭」のハッシュタグをつけた書き込みで例年盛り上がる。例年と言うのは他でもない、今年で32回目なのだ。
何しろ知事のほか、県議会議長、県下あちこちの市長や企業トップが一堂に会し、自慢のノドを披露するという、県民の懐が深くなくては許されないような趣向。今年は12月2日に収録が行われ、テレビ埼玉(テレ玉)で元日のゴールデンタイムに放送される。要は歴とした番組コンテンツなのである。
きっかけは92年の知事選
歌謡祭は1992年開始。
「歌で埼玉を元気にという思いに賛同いただいた政財界と番組を立ち上げた」
とはテレ玉の説明だが、
「92年の知事選前、出馬を表明した現職と前参院議長を歌で対決させたら面白いかも、と他の社長さんとともに財界側から提案したんです」
と明かすのは、さいたま市の結婚式場「清水園」の清水志摩子社長(78)。ただひとり第1回から連続出場している歴史の証人である。
第1回は2月1日放送で、翌93年から元日に。コロナ禍で2020年は収録を断念したが、翌年元日OAの総集編も話題に。来場者の募金と企業などの拠出金から100万円を毎年、県文化振興基金に寄付している。
選曲は昭和歌謡も多く、企業トップが歌う際には社員らがバックダンサーに扮することも。昭和感が満載な、これぞまさに奇祭だ。
清水社長は70歳のときに「辞めたい」と申し出たが、今では「元気に前向きにやっていることを同じ世代に伝えたい」と意気込み、今年も豪華な衣装を身にまとい、シャンソンの名曲「鏡の中のつばめ」(村上進)を披露した。
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