日本製が初めて使用される台北「ニューイヤー花火」 現地の期待は高まる一方で、思わぬプレッシャーも

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 台北101ビル恒例のニューイヤー花火が、2024年も打ち上げられることが12月12日に正式に発表された。点火は1月1日の午前零時。1万6000発の花火が、300秒にわたって新年の夜空を彩る。行政院(内閣)によると、今回のテーマは「COLORFUL WORLD」である。今回、はじめて日本の花火も使われることになった。

 ニューイヤー花火は、101ビル完成を祝って2003年12月31日から2004年1月1日にかけて打ち上げられて以降、台北の風物詩になった。

 当時は、高さ508メートルの台北101が世界で最も高いビルだったから話題を呼んだ。川原から打ち上げられる花火と違い、ビルのバルコニーから飛び出す火花がビル全体を包む。毎年、国際メディアの中継が行われ、これを放映するユーチューブのチャンネルも多い。実際に花火を見に台北101に集まってくる人は、100万人を超えるともいわれる。日が暮れるとビルに近づくことも難しくなるほどの人出で、「それでも花火が見えるポイント」や「撮影にはここ」といった情報がSNSで飛び交う。

政権に左右されてきたニューイヤー花火

 台北101は象徴的存在だけに、政権与党の思惑に左右されてきた。それに紐づくニューイヤー花火も同様だ。そしてビルや花火は日本とのかかわりが深い。

 台北101建設が具体化したのは、民進党の陳水扁氏が台北市長を務めている時期だった。「台北をアジアのマンハッタンに」というスローガンがもちあがり、地上101階の世界一高いビル(当時)が完成した。初回のニューイヤー花火が好評で、継続されることになったが資金がない。そのときスポンサーとして名乗りをあげたのが日本のソニーだった。

 しかしその後、ニューイヤー花火は毎年、開催が危ぶまれる。政府からの支援はあるものの、経費の大半を民間スポンサーに頼っているからだ。国民党が政権を握っていた2015年は、中国との関係も良好で、中国製の花火と台湾製花火を合わせて3万発が打ち上げられるという派手なイベントになった。しかしその後、民進党が政権を握ると、中国とのパイプは細くなり、毎年、スポンサー探しに苦労しているという。ニュースサイトのフォーカス台湾によると、今年は内閣、観光庁のほか中華電信などから支援を得、約2000万台湾元(約9200万円)が集まったという。

 台北101の経営も花火同様、紆余曲折があった。ニュースサイトの中天新聞網によると、2014年に中国の習近平に近いマレーシアの企業が台北101の株を取得しようとしたが失敗。その後、日本の伊藤忠商事が株を取得している。2016年には民進党の蔡英文政権になり、台北101の代表取締役は民進党系に代わっているという。

 政治情況の影響を受けるニューイヤー花火。国民は誰しも年明けに行われる総統選に結びつけてしまう。

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