岡田阪神はリーグ連覇できるのか…話題の“タイガース本”著者が明かす「こりゃ、強いぞ」と断言できる根拠

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岡田監督のチーム作りの根本は、全く変わっていない

 前振りが、長くなりました。

「中日V」かと思わせて? ちょっとなんですが、2024年の阪神、私の見立てでは「連覇濃厚」です。

 阪神・岡田彰布監督がオリックス監督を務めたその3年間、番記者だった経験を踏まえ、2023年の阪神快進撃のさなか、よく「何がオリックス時代と変わったのですか?」というご質問を頂きました。そうした“変化の分析”を本にしませんかという、ありがたいオファーもありました。

 ただ、いつもこう答えていました。

 岡田監督のチーム作りの根本は、全く変わっていません――。
 
 オリックス監督就任直後の2009年秋季キャンプで「こんなええの、おったんか」と素質を見いだし、4番に据えたのが2010年の本塁打王・T―岡田。先発投手陣の頭数が足りない台所事情でありながら「平野はリリーフよ」と、ブルペン強化の切り札として平野佳寿をリリーバーに転向させ、2009年のシーズン後半にはストッパーを務めていた金子千尋も「なんで、一番完投能力のあるピッチャーが、後ろをやっとるんよ?」と先発の柱に“再転換”したのも、すべて岡田監督の手腕です。

 チームの中心を固め、さらに主力のポジションも固定し、個々の役割を明確にする。2023年の阪神には、1番・近本光司、不動の4番・大山悠輔、5番・佐藤輝明ら、その“岡田の考え”を体現できるだけの『力』を備えたタレントがそろっていました。中野拓夢を遊撃から二塁へコンバートするなど適性を見抜き、新たな役割を与えるというのも、オリックス時代の平野のケースと同様です。

ここ数年は“進化”が続く気配

 また、過去2年は1軍未勝利だった村上頌樹、ソフトバンクから現役ドラフトで移籍の大竹耕太郎といった、過去の実績がほぼないともいえる“未知の戦力”を抜擢。村上は最優秀防御率、新人王にセ・リーグMVP、大竹も自身初の2桁勝利となる12勝。こうして「信じて使い続ける」のも、T―岡田のケースと同じです。

 この『岡田式』のチーム作りを、オリックス時代もやろうとしたのですが、それだけの「力と経験」を積ませることができず、指揮官の狙いが浸透し切れずに、3年連続Bクラスという屈辱の結果に終わったわけです。一方、2023年の阪神には、選手個々の力が高いレベルでそろい、そこに岡田監督の指揮や考え方がズバッとはまった結果でもあるのです。

 だから、2024年、さらに阪神は進化します。

 日本一という結果によって、選手たちはますます、岡田監督の考えや意図を理解できれば「勝てる」という確信が生まれたはずなのです。連覇を目指す2024年も、近本と大山が30歳、佐藤輝は25歳。投手陣でも村上と才木浩人が26歳、今季10勝の左腕・伊藤将司も28歳。その年齢を見ても、ちょうどええ頃合い。主力陣は現状維持どころか、ますますパワーアップする期待大です。どうも、ここ数年間、その『進化』は続く気配すら漂っています。

 こりゃ、強いぞ――。

『阪神タイガースは、なんで連覇できたんやろか?』

 その分析を書いて下さいという“新オファー”が来ても困らぬよう、2024年、私も取材にいそしみたいと思います。

喜瀬雅則(きせ・まさのり)
1967年、神戸市生まれ。スポーツライター。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当として阪神、近鉄、オリックス、中日、ソフトバンク、アマ野球の各担当を歴任。産経夕刊連載「独立リーグの現状 その明暗を探る」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。産経新聞社退社後の2017年8月からは、業務委託契約を結ぶ西日本新聞社を中心にプロ野球界の取材を続けている。著書に「牛を飼う球団」(小学館)、「不登校からメジャーへ」(光文社新書)、「ホークス3軍はなぜ成功したのか」(光文社新書)、「稼ぐ!プロ野球」(PHPビジネス新書)、「オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年」(光文社新書)、「阪神タイガースはなんで優勝でけへんのや?」(光文社新書)

デイリー新潮編集部

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