92歳の母は今夜もカレンダーに斜線を引く…「世田谷一家殺害事件」から23年、高齢の遺族が切望する「生きているうちに真相を知りたい」
「今日も逮捕の連絡がなかったな」
声優に代読された節子さんの思いはこう続く。
「事件のことは毎日、連絡が来なかったと斜線を引いておりますが、引きながらいつも思うことは、なぜ子供までも手をかけたのか。また、どうして(家の)明かりがついているのに(犯人は)入ってきたのか。不思議でしょうがないことです。早く犯人が捕まって、私が生きているうちにとにかく真相を知りたいと思っています。そうしないと4人に会っても話すことがありません」
節子さんの自宅にある冷蔵庫には、カレンダーが貼り付けられている。毎日午前0時を過ぎると、定規を手に鉛筆で日付のところに斜線を引くのが「儀式」だ。事件発生からしばらく経ってこの儀式を始め、斜線が引かれたカレンダーは200枚を超えた。
節子さんがある時、こう口にした言葉が思い出される。
「やり始めて最初の何年かは悲しみながら引いていました。でもそんな私の姿を見たら、あの子たちも悲しむんじゃないかと思い、努めて明るくするようにしました。もう20年近くこの線を引いています。今日も逮捕の連絡がなかったなあって思いながら」
節子さんは今も自宅で1人、犯人逮捕の一報を待ち侘びながら、真夜中に儀式を行なっている。