広末涼子、降谷建志、斉藤由貴…忘れがたき2023年の不倫芸能人 あまりに違う発覚後のダメージについて

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 今年も多くの「不倫」ニュースが世間を賑わせた。夫が“間男”に宣戦布告した女優、かねてよりのキャラクターで大ダメージを負わずに済んだお笑い芸人etc.男女問題を30年近く取材し『不倫の恋で苦しむ男たち』などの著作があるライターの亀山早苗氏が2023年の不倫を振り返る。

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 バレたら世間から誹られ、人気もガタ落ち、仕事も来なくなるかもしれない。それが不倫の行く末である。わかっていながら、芸能人は不倫をする。いや、芸能人だけでなく、一般人も同じこと。芸能界の人間模様は、一般社会の縮図でもある。

 今年もやらかしてくれた人たちがたくさんいる。なんといっても最大最強の話題は、「広末涼子と鳥羽シェフ」の一件だろう。43歳のヒロスエと45歳の鳥羽周作シェフ、そしてヒロスエの夫の49歳キャンドル・ジュンを巻き込んだ不倫騒動が週刊文春に報じられたのが6月のことだった。鳥羽シェフも既婚者であるため大騒ぎとなったが、ヒロスエは否定。ただ、次々と証拠が出てきて否定しきれなくなったのだろう、1週間後に全面的に認めた。その後、キャンドル・ジュンが妻をかばうような発言をしつつも、「妻は尋常ではない」とか「今までもこういうことがあった」とかいらんことを暴露し、同情を引いた。さらにヒロスエと鳥羽シェフの交換日記が流出、ツッコミどころ満載すぎる文章に世間がわいた。今でもあれはいったい誰が流したのだろうと気になっている。

 ヒロスエはすべての仕事を降板、映画も延期、雑誌に連載していたエッセイも休止、さらにその雑誌のホームページから記事が削除された。

女優という者の性か

 だが、その後、ヒロスエは前から夫に離婚を申し入れていたこと、キャンドル・ジュンのパワハラなどが報道され、ヒロスエ叩き一辺倒の空気は少し薄らいでいった。不倫するにはワケがある。それが世間に許されるかどうかは別としても、シタ側にも理屈があるものだ。

 彼女と同年代以上の人からみると、若いころの彼女は「プッツン女優」として有名だった。最初の結婚をしてから落ち着いたように見えたものの、やはり女優という者の性として、一般人と同じようなメンタリティではいられないのではないだろうか。もちろん切り替えが早いタイプはいるだろう。だが役を引きずるタイプ、あるいは役から抜けられないタイプもいると聞く。自分ではない別人をどれだけリアルに演じられるかが役者の礎だとしたら、それは本人にとっては過酷な人生だ。

 彼女はかつては熱狂的なファンに支えられた「アイドル」だった。普通の生活ができず、大学を中退せざるを得なかったこと、苦しかったことなども告白している。そして自らアイドルを脱し、着実に実力を蓄えてきた役者である。

 現在、ヒロスエには多くのオファーが来ているという。常々、不倫で仕事を奪われるのは不当だと感じているが、世間というのは意外と手強いものでもある。CMや地上波ドラマは無理だとしても、映画や舞台なら復帰は可能だろう。22年に映画『あちらにいる鬼』で夫に不倫をされながらも淡々とすべて飲み込む女を演じて、キネマ旬報助演女優賞を受賞したヒロスエが、どんな役で復帰するのか楽しみである。

「いい妻」をいち早く降り

 次に印象に残っているのは、女優として、美容本を大ヒットさせた美容家として、さらにカフェを営む実業家としても大成功をおさめているMEGUMI(42歳)とDragon Ashの降谷建志(44歳)夫婦の件だ。降谷はファンの女性との不倫が9月に報道され、記者の質問に「(不倫は)重々承知でございます」と半ギレ状態の名台詞を残した。一方、MEGUMIは亭主関白の夫を15年支え、信じてきたのに第三者から不倫を聞かされてショックを受け、報道時にはすでに息子を連れて別居に踏み切っていた。

 その後、MEGUMIは公には離婚についてほとんど発言していないが、どうやら離婚は成立したもよう。体調不良を表明していた降谷は、12月半ば、自宅に新しい家具を運び入れていたという。すでに自宅で不倫相手だった女性と一緒に住んでいたのだが、家具を入れ替えていよいよ結婚ということになるのかもしれない。

「いい妻」をいち早く降り、自らの道を淡々と進んでいくMEGUMIは、この秋のドラマでプロデューサーも務めていた。これからさらに新しい顔がくわわっていくのかもしれない。夫の不倫の話題を長引かせることなく、さらっと離婚を選択したことに女性たちからの評価は高い。

ノーダメージだったこの2人

 お笑いトリオ「ジャングルポケット」の斉藤慎二(41歳)は、この夏、不倫が報じられた。いち早く認めて謝罪、妻のタレント・瀬戸カオリも「しっかり叱責して夫も反省しております」とメッセージを出した。ところがこのあと、過去の不倫未遂を報道されて、さすがにメンタルがボロボロとまで言われた。愛妻家で子煩悩、しかもかつていじめにあったことを公にしていたことから、「いい人」のイメージが強かったため、イメージはガタ落ちしたようだが、現在ではレギュラー番組にも戻っており、意外と影響は少なかった様子。

 以前から、「いい人」であることとは別に、独身時代に浮気がバレた話なども公にしていたようだから大ダメージには至らなかったのかもしれない。

 さらに騒がれたわりにはノーダメージに近かったのが、斉藤由貴(57歳)だろう。6年前に不倫関係を報じられた医師が経営するクリニック前で、彼女が「入れて、閉めないで」と叫んで泣き崩れていたと報じられた。警察まで出動し、「狂乱動画が流出」と騒がれたものの、なぜか後追い取材はなされておらず、何がなんだかわからないうちに終わってしまったという印象だ。

 独身時代の彼女は、尾崎豊、川崎麻世と既婚男性とつきあい、そのたびに記者会見をしてきた。訥々と、だが真摯に「たくさん過ちをおかしてきました」「私はどうして学ばないのかなと思います」など、そのたびに名言を残してきたのが懐かしい。

 28歳のとき、同じモルモン教信者の一般男性と結婚して3人の子をもうけた。ここからの彼女はごく普通の母親として家族第一に生活していたようだ。子どもたちが大きくなると女優としての仕事を増やしていく。そして50歳で件の医師との恋愛が発覚。このときは相手の医師が彼女の下着をかぶった強烈な写真が出回った。「50代の男が恋したら、はしゃいでこうなる」の典型だろう。

 家族ぐるみで世話になっている医師だと釈明したが、あんな写真が出回ってしまえば何を言っても無駄である。このときはさすがに一時期、すべての仕事を降板している。だが、いつの間にか復帰、ドラマに映画にと活躍してきた。

今も難しいベッキー、渡部建

 今回の件があっても彼女がノーダメージなのは、女優としての実力があることに加えて、人々を「ああ、またか」と納得させてしまうだけの「恋多き女」イメージが定着したことにあるのかもしれない。本人としては不本意かもしれないが、このレッテルは逆に彼女を楽にしたのではないだろうか。そしてなにより、彼女には今も「現役のオンナ」としてのオーラが満ち満ちている。こうなったら、還暦を超えてもどんどん恋をしてもらいたいものだ。

 不倫が大きなダメージになるかどうかは、もともとの本人の性格や物腰、逆に一般人がその人に抱きがちな印象など、さまざまな要件があいまって決まっていく。発覚後にどうするかというリスクマネジメントも要求される。ひたすらいい人キャラだったベッキーや渡部建は、いまだ地上波では活躍しづらそうだ。一度崩れたイメージを回復するのはむずかしいし、今の時代は叩かれ放題になって立ち上がるチャンスも訪れなくなる可能性もある。

 それでも来年もまた、不倫の話題は世間を賑わすだろう。「誰と誰が不倫? え、それはすごいね、おもしろい。でも、それがどうした」という世の中にはなりそうにない。それが生きづらさに満ち満ちた現代日本なのだ。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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