辛口コラムニストが選ぶ2023年「ドラマワースト3」 「らんまん」「どうする家康」でEテレのお勉強番組が頭に浮かんだワケ

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2023年テレビ総括

アナ:となると、新年の大河ドラマについてはどう見ていますか、「光る君へ」?

林:一転、アレには期待しているのよ、すごく。だって、『源氏物語』って、下手すると戦前くらいまでの約1000年間、ニッポン文化の根幹から表層にまでものすごい影響力を持ってたわけでしょ。それなのにこの100年足らずのうちに『源氏』についての理解度・認知度は急速かつ大幅に落ちている。ここでひとつ、『源氏』的なるものが大々的に画になり音になり形になって世の中に押し出されることには相当な意義があると思う。

アナ:あれ、意外なお答え……。

林:ただ、意義の大きさとドラマの出来にはなんの相関関係もないけどね。『源氏』の世界がどんどんマイナーになったり、なかなかドラマ化、映画化されてこなかったりした理由もちゃんとあるわけで、NHKはそこをきちんとおベンキョして、きちんと潰さないと、「光る君へ」は目も当てられない駄作に仕立て上げられる可能性も大いにある。

アナ:林さんからは、そういう怖い話をされたほうがむしろ安心します。

林:そもそもNHKは2023年、受信料を引き下げると騒ぎながら値下げ幅は1割程度で、一方、後からBSプレミアムという主要なチャンネルをひとつ潰して、平気な顔してる。ビッグマックをちょっと値下げして、でもパティ(肉)は1枚抜いただなんて、マクドナルドなら大騒ぎなのに。

アナ:すみません、何の話でしょう?

林:そもそも2023年はドラマのワーストなんかよりTVのワースト、ギョーカイのワーストを選ぶべきなんだよ。NHKやジャニーズのあれこれだけじゃなく、バラエティ全般の数字が落ち、そこをドラマ枠に切り替えても駄目、フジは視聴率でテレ東に抜かれ、NetflixやHuluの業績不振で配信向けコンテンツ制作にはブレーキがかかり、独立系地方局の群馬テレビでは地銀出身の社長が更迭され、松本人志にスキャンダルが浮上する。いやもうホント、今までのTV、今までのギョーカイがついに、本当にブッ壊れるような話ばかりで、でもまぁ、それは新しい世界が生まれるきっかけになる可能性でもあり……。

アナ:ええ、せめて皆さんは、よいお年を!

林操(はやし・みさお)
コラムニスト。1999~2009年に「新潮45」で、2000年から「週刊新潮」で、テレビ評「見ずにすませるワイドショー」を連載。テレビの凋落や芸能界の実態についての認知度上昇により使命は果たしたとしてセミリタイア中。

デイリー新潮編集部

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