辛口コラムニストが選ぶ2023年「ドラマベスト3」 2位「VIVANT」、1位はジャニーズ問題が見事に投影されたスペシャル作品

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「仕事人」に成敗されるべきもの

林:ヒガシ最後の主演になる「仕事人」スペシャル、これこそジャニーズ問題が見事に投影されたドラマだ! さらに言えば、ジャニーだ、ジュリーだ、メリーだ、白波瀬だにとどまらず、芸能界、TV業界、マスメディア、いやニッポンまでのありようが凝縮されたドラマでもある!

アナ:落ち着いて説明してください。

林:では、状況と論理の流れを以下、箇条書きのフリップにて。

▼「必殺」の基盤は、表で制裁を逃れる悪が裏で成敗されることによるカタルシス
▼にもかかわらず、主演・藤田まことの後継はジャニーズの大物である少年隊のヒガシ
▼ジャニーズ隆盛の裏には、性的なスキャンダルやら独禁法の抵触やらの闇あり
▼そのジャニーズのプリンス=東山が主演という配役には、そもそも↓の違和感あり
▼表じゃ黒いが裏では白いのが仕事人なら、表は白いのに裏が黒いのがジャニーズ東山
▼↑の違和感が、ジャニーズ問題の噴出により、一部の物好きから世間一般へと拡散
▼にもかかわらず、今回「必殺」の新作がヒガシの最終主演作としてオンエアされる

……ほら、もうここまでで充分にジャニーズだし、芸能界だし、TVギョーカイだし、ニッポンだしでしょ。無理が通って道理が引っ込み、武士道廃れて商売繁盛、腐臭充満、臭さ爆発!

アナ:なるほど。東山さん主演の「仕事人」シリーズには東山さんの他にも旧ジャニーズ事務所所属のタレントさんが複数出演していて、歴史ある名シリーズのジャニーズ化だという批判も出ていました。

林:そういう「仕事人」の最新特番だもの、中身がどう転んだとしたって2023年最大の問題作にしかなりません。ジャニーズ騒動&ヒガシの立ち位置の悪化をなかったことにするストーリーなら、1年を代表する糞ドラマに墜ちるし、万一、ヒガシ≒渡辺小五郎が自分の黒さを曝け出してさらに黒い敵に捨て身で挑む展開にでもなれば、ドラマ史に残る神ドラマに昇華する。この物件に限っては見る前から推せるよ、年間トップに。

アナ:となると「仕事人」スペシャルは年間ベスト1だけでなく……

林:そう、年間ワースト1にも自動的に選出される形です。この場ではベスト&ワースト1の両方に選定とするけれど、実際に放送された後、それを見た人たちがそれぞれベストに転んだかワーストに転んだか、あるいはどちらにも絡まない凡作駄作に終わったかを決めてもらってもいい。そもそもワタシ、見る気が湧いてきてないし。

今年のドラマ・ベスト&ワーストの後編につづく

林操(はやし・みさお)
コラムニスト。1999~2009年に「新潮45」で、2000年から「週刊新潮」で、テレビ評「見ずにすませるワイドショー」を連載。テレビの凋落や芸能界の実態についての認知度上昇により使命は果たしたとしてセミリタイア中。

デイリー新潮編集部

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