パンツ1枚、車を運転しないのには理由がある…ハリウッドザコシショウが明かす「笑い」への矜持
笑いと芸人へのこだわり
「R-1ぐらんぷり」王者になり、多くのバラエティ番組に出るようになった頃、ある番組で、昔からファンだったグラビアアイドルと共演が叶った。しかし本番中、司会者から「この中でマジで嫌いな人がいるんですよね？」と振られ、そのアイドルはためらうことなく「ザコシショウ嫌いなんです。生理的に受けつけない…」と言われた。
「イジリでなく、マジで言われたのでね。傷つきました。僕が海パン一枚でネタをやるのが嫌だというのは仕方ないです。でも、どうせふざけて適当に考えて海パン一枚でやっているんだろうと思われるかもしれないけど、それは違う。僕がネタでやるものまねをやる場合、スーツを着てやるよりもパンツ一枚でやった方がバカバカしい。あと、僕は手足が短いから、その体の線をちゃんと見せたほうが笑いを取れる。つまり、適当に考えたのではなく、行きついた先が海パン一枚だったんです。そこを分かって欲しいんですよ」
ザコシショウの頭には、昔、タモリが白ブリーフ1枚でやった「イグアナのものまね」があり、「ものまね＝白ブリーフ」だった。だが、さすがに今の時代、白ブリーフ一枚では客が目のやり場に困るという意見もあり、黒の海パンを採用した。また、極端な太り過ぎではなく、ほどよいキューピー体型もザコシショウのウリだ。この体型をしっかり見せることも笑いには欠かせない。
「全部、理由があってやっていることなんです。体型だって適度な丸みを維持するために、必要に応じて炭水化物抜きもしますし、ウォーキングは欠かしません。僕は今でも世に出られたのが奇跡だと思っているんです。なりたくて仕方なかったお笑い芸人に、何年もかかってやっとなれて、それを簡単に手放したくないんですよ」
だから車も持たない。運転中に万が一、事故でも起こしたら。ましてや事故の相手方の命をうばうようなことになったら……。
「あと、番組で共演するグラビアアイドルとは過度に話さないですね。仲良くなって飲みにいって、そして万が一、変な関係になったら…今の時代、一発でアウトですから」
ザコシショウは笑いに対してどこまでもストイックで、真剣なのだ。その姿勢は後輩に対しても変わらない。かつて自分が貴重な時間を棒に振ってしまった20代の頃を思い出し、迷っている後輩には惜しみなくアドバイスを送る。
「お前は楽屋であんなに面白いんだから、そのままをやればいいんだよ。なんで舞台の上で斜に構えたボケをするんだ。いつも通りやれ！」
このアドバイスを受け、漫才スタイルが変わるとブレイクし、「M-1グランプリ2021」王者になったのが錦鯉。
別のコンビは、どうせ優勝できないからと、賞レースのコンテストに出るのを止めようとしていた。そんな時、
「なんで止めるの？ もったいないじゃん。お前ら面白いんだぞ。もう1年だけ出ろ」
このアドバイスを受け、もう1年と決めて挑み、「キングオブコント2012」で王者になったのがバイきんぐ。まさに、今をときめくお笑い芸人を生み出した、偉大なる功労者ではないか――と持ち上げてみると、
「いやいや、そんなことありません。一言、あるいは一つの気付きだけで人は変わるんです。ただ、特に20代や、売れない時期が長くなると卑屈になってしまってなかなかそれに気付けない。僕は実際に経験していますから、手に取るように分かるんです。こいつ、今苦労しているな、辛いだろうなって。僕の方から押し付けがましく何か言うことはありませんが、相談されれば、アドバイスはします。僕のように遠回りをしなくて済むのなら、その方がいいですからね。ただ、この世界を目指す人には言いたい。生半可な気持ちでやるなよ。潰されても出てくるような、それぐらいの気持ちがないとやっていけないよ、と」
どこまでも「笑いに真剣」なハリウッドザコシショウ。初の「完全自腹」「完全自己プロデュース」となる冠番組について最後に一言。
「実は、嫁と娘が出るんですよ。もちろん、メディア初登場です。今までプライベートは公開してこなかったんですけど、記念にということで…。内容？ すみません、観てくださいとしか言えないです（笑）」
