「今の信号行けただろ!」「サングラスはお客に失礼だ」理不尽なクレーム、独特の勤務形態…バス運転手が明かす“過酷すぎる日常”
バスドライバーの労働環境
元バスドライバーで、現在は長距離トラックドライバーをしている男性は、バスの苦労をこう表現する。
「バスはトラックと違って、“荷物”がしゃべる。しゃべるだけならいい。文句を言ったり営業所に理不尽なクレームを入れたりする」
文字通り「多くの人命」を背負って走るバスドライバー。彼らが口をそろえて「しんどい」とするのが、その運んでいる客からの「カスハラ」だ。
「満席時、車イスのお客様が乗られたので座席の移動をお願いしたら『自分はどこに座ればいいんだ!』と怒鳴られる」
「『いちいちアナウンスがうるさい』と文句を言われる。アナウンスしなかったらしなかったで『聞いてない。何で言わない』と文句を言われる。どうすれば…」
「雨の日、バス停の近くに雨宿りできるような建物があると、そこで待機し、バスが見えたら出て行こうとするお客様がいらっしゃるんですが、死角になっていて気付かずに通過して営業所に鬼クレーム。『バス停近くのコンビニの店内で待っていた』と」
今年、バスやタクシードライバーの車内での氏名掲示義務が廃止されたことが大きな話題になった。掲示義務廃止の理由は、名指しによる理不尽なクレームが後を絶たないから、だったのだが最近はその名札がなくなったことに対するクレームまであるという。
「何かが気に入らずクレームを入れようとしたお客さんなんでしょう。運転士の名前を確認しようとしたら、今まであった場所に名札がなく、営業所に『名札をなくすな、クレームが入れられないじゃないか』、というクレームがきました」
この名札廃止の動きと同じころ、ドライバーの「サングラス着用」を認めるとする報道もあったが、これについても未だに苦情があるという。
「『見た目が威圧的だ。客に対して礼に欠ける』というクレームが入ったと聞いて、サングラスは着用OKになっても掛けづらいですね。ただ、一面がフロントガラスになっているバスは、ドライバーが直射日光に晒される時間も長いため、本当に目に負担がかかる。見た目くらいでクレームなんて入れないでほしいです」
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