「君たちはどう生きるか」「ゴジラ-1.0」が全米を席巻 日本のサブカルで「アニメ」が“世界のメインストリーム”に躍り出た納得の理由

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「幽☆遊☆白書」も“史上初”

 日本映画の快進撃は、アメリカだけにとどまらない。アジアで今年、大ヒットしたのが「すずめの戸締まり」と「THE FIRST SLAM DUNK」である。中国では両作品とも現地の日本映画興行記録を更新し、「すずめの戸締まり」が8億元(約160億円)、「THE FIRST SLAM DUNK」は6億6000万元(約132億円)の興行収入を上げた。

 韓国と台湾でも、現地の有力作品やハリウッドの大作映画に並んで、両映画は年間興行収入トップ10にランキング。若者はもちろん、ミドルエイジまでもファンとして掴んだことが大きかった。

 日本コンテンツの世界での活躍はまだある。アイドル業界の内幕をサスペンスタッチで描くアニメ「【推しの子】」の主題歌であるYOASOBIの「アイドル」はBillboard グローバル(Excl. U.S.)でJポップとして初の1位を獲得。アニメを通じた認知度の拡大と、音楽配信が巧みに連動した結果である。

 また12月にネットフリックスで配信がスタートした北村匠海主演の実写ドラマ「幽☆遊☆白書」は、週間世界ランキング「非英語圏」で1位、「全言語」で2位に輝く。ネットフリックスの同ランキングで日本作品の1位は史上初である。

「サブカルチャー」の逆襲

 2023年は映画、アニメ、音楽、ドラマなどの各分野で、日本のコンテンツが飛躍を遂げた年だった。これほど人気を博した理由はどこにあるのだろうか。

 ジャンルこそ違うが、こうしたヒット作はいずれも「アニメ」「マンガ」「特撮」「キャラクター」といった、国内では長い間「サブカルチャー」と呼ばれてきたものと結びついている。傍流であったがゆえに際立つ“個性”を発揮してきた、これらのジャンルが「カウンターカルチャー」として評価され、いまや世界の“メインカルチャー”を浸食し始めている。

「君たちはどう生きるか」「ゴジラ-1.0」が第二次大戦中や戦後の日本を舞台としているのも興味深い。「すずめの戸締まり」は東日本大震災を題材にした日本各地をめぐるロードムービーで、「【推しの子】」は女性アイドル、そして「幽☆遊☆白書」に出てくる主人公たちの“学ラン”など、いずれもモチーフや登場するアイテムと日本カルチャーが強く結びついていることに気づく。

 これまで「海外では分かりにくくてウケない」や「海外市場を目指すなら避けるべき」とされていたものが、広く受け入れられているのだ。ここに今年、海外で日本のコンテンツがヒットした秘密がありそうだ。

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