「ギザ10」1枚が27万円に! プロのコイン商が明かす高額落札の理由と、レアコインの価値を半減させる“厳禁行為”

国内 社会

  • ブックマーク

見つかったら大化け? エラー10円玉

 5円玉や50円玉の穴がずれていたり、穴が開いていなかったりといった、いわゆるエラーコインはよく知られている。実は10円玉にもエラーコインは存在し、もし見つけたら大化けする可能性があるのだ。銀座コインのオークションで落札された品物を見てみよう。

 この10円玉は、平成元年に発行されたごくごく普通の10円玉に見える。先ほどのギザ10のように保存状態が良いわけではなく、表面は手垢で汚れている。ところが、本来あるはずの平等院鳳凰堂の刻印がなく、両面に“10”の文字が刻まれている。さらに詳細に観察すると、片面に刻まれた文字は鏡鑑文字になっているのだ。

 これは10円玉にごく稀に見られる“陰打”と呼ばれる有名なエラーで、120万円で落札されている。昭和の時代の陰打でも数十万円で落札される例が多いが、製造技術が上がった平成の年号ということで特に希少性が高く、10円玉のエラーコインではトップクラスの高額落札となった。

 陰打はごくごく稀ではあるものの、財布の中から見つかる可能性が高いエラーコインであり、50円玉の穴ずれよりも知名度が低いため、見逃されているケースが多い。釣り銭で10円玉を手にしたら、こまめにチェックする癖をつけてもいいかもしれない。もちろん、エラーコインが高いからといって、故意に手を加えると犯罪になってしまうため、ご法度であると心得よう。

山内貴範(やまうち・たかのり)
1985年、秋田県出身。「サライ」「ムー」など幅広い媒体で、建築、歴史、地方創生、科学技術などの取材・編集を行う。大学在学中に手掛けた秋田県羽後町のJAうご「美少女イラストあきたこまち」などの町おこし企画が大ヒットし、NHK「クローズアップ現代」ほか様々な番組で紹介された。商品開発やイベントの企画も多数手がけている。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。