米国なら大幅減俸はない…田中将大は越年更改で楽天と何を話すのか

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「年明けになると思います」

「2年連続の年越し更改」で、田中将大(35)は何を訴えるのだろうか。

 東北楽天ゴールデンイーグルスの田中が、23年12月にオンエアされたTBS系ドラマ「下克上球児」で、高校野球の解説者役で出演した。劇中ではマウンドに立つ控え投手の気持ちに寄り添ったエールも送り、その熱く、臨場感のある語り口に惹き込まれた視聴者も多かったはずだ。

「球団発表によると、10月下旬に右肘関節鏡視下クリーニングの手術を受けたそうです。試合復帰までは4カ月ほど掛かるとされ、順調に行けば、キャンプ後半から本格的な投球練習を開始すると思われます」(スポーツ紙記者)

 複数の関係者が「来季序盤戦での完全復帰」を口にしている。短期間での調整でマウンド復帰を信じて疑わないのは、あと3勝に迫った日米通算200勝もあるが、プロ18年目を迎えるキャリアがあるからだ。だが、その前に契約更改という問題をクリアしなければならない。

「年明けになると思います」

 これは、12月7日に楽天イーグルスの査定を担当する佐々木亮人国際部長が、各メディアに漏らした言葉だ。

 どの球団もそうだが、11月のオフシーズンから始まる契約更改は、下交渉を経た上で行われる。フロントと選手が1回の話し合いで、すんなり決まるものではないからだ。シーズン終盤に入ると、査定担当の球団スタッフが各選手にやんわりと内容を伝え、また、選手側も希望金額や自身が評価してもらいたい部分をあらかじめ言っておく。こうした下交渉を重ねて両者が妥協できたら、改めて契約更改の席に着くのである。

「交渉の場では、選手側が年俸とは関係のない話をすることも多いです。『球場内にサプリメント・バーを設けてくれ』とか、『選手寮の洗濯機を新しくしてくれ』という感じで。もっともこんな話ができるのは投手、野手に関係なく、安定した成績を3年くらい積み上げた選手ですが」(前出・記者)

 通常、契約更改は年内に終了するものだが、12月上旬に佐々木国際部長が「年越し」と口にしたということは、田中サイドの希望金額と球団提示額が大きく掛け離れているか、別の理由で揉めていると見るべきだろう。

数字の上では明らかにダウンだが……

「23年の田中の成績は7勝11敗。防御率も4.91と不甲斐ないものでした。日本球界復帰後、初めて規定投球回数を下回り、ダウン提示は必至です。減額制限(年俸1億円以下は25%、年俸1億円超えは40%)を超えそうだと報じられています。23年推定年俸の4億7500万円から半分以下の2億円になると見られます」(地元メディア関係者)

 田中は23年最終登板となった10月2日のソフトバンク戦後、「不甲斐ないシーズンが続いているので、しっかりと期待に応えられるような投球を心掛けたい」と話していた。このコメントから察すると、ダウン提示は覚悟しているようにも見えた。

「日本球界に復帰した21年シーズンの推定年俸は9億円。『2年契約』だったので、22年は9億円のままでしたが、23年は4億7500万円までダウンしました。しかし、年俸が2億円台だったら、さすがに田中のメンツにも関わってきます」(NPB関係者)

 復帰後の3年間のトータル成績は20勝32敗。21年は4勝9敗、22年は9勝12敗だった。渡米前の最後のシーズンで記録した24勝無敗1セーブという成績を知るファンにとっては明らかに物足りない数字で、22年の12敗と23年の11敗は「リーグ最多敗戦数」である。

「明らかにストレートの球威が落ちています。ウィニングショットだったスプリットもバットに当てられることが多くなりました。なんだかんだと言っても、プロは結果が全て。大幅減俸も仕方ないと思います」(前出・スポーツ紙記者)

 しかし、米球界は田中の「2年連続での大幅減俸」に首を傾げているという。

「田中は楽天に帰還した21年、155イニング3分の2を投げ、22年も163イニングを投げました。23年は規定投球回数に届かなかったとはいえ、139イニング3分の1を投げています。しかも、22年はチームトップの投球回数を投げているのに、なぜ減俸になるのか、米球界の関係者はビックリしていました」(米国人ライター)

 というのも、米球界の査定方式は日本のそれとは異なるからである。

 米国では、先発投手がもっとも評価されるポイントは、シーズンを通じて先発ローテーションを守りきったかどうかだ。また、日本人投手が米球界に移籍する際によく聞く「プラス出来高」の「出来高」とは、タイトルの獲得、勝率、勝利数、奪三振数などを、球団が定めた数値を超えた場合に支払われるボーナスの意味合いが強い。先発投手に求める条項で、何よりも優先順位が高いのは「登板回数」と「イニング数」で、勝率や勝ち星だけで評価されるわけではない。

「先発投手が相手打線をゼロに抑え、試合終盤に得点してチームが勝利したら、勝ち星はリリーフ投手に付きます。試合に敗れたとしても、先発投手として試合主導権を渡さなかったら、チームに貢献してくれたことになります。だから、勝率や勝ち星は二の次なんです」(前出・同)

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