チョコレートプラネット、安村、しずるに拍手喝采… Z世代の中国人にウケる「日本のお笑い」事情

国際 中国

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 2023年11月、上海で「上海喜劇節(コメディフェスティバル)」が開かれた。そこで11日から19日まで行われた日本のお笑い芸人たちのライブは大盛況だった。約800の客席の会場は満員で、チケットは早々に完売したという。出演者が「日本人はいますか?」とステージで聞いても、挙手したのは1割未満。ざっと見渡した印象では、観客のほとんどがZ世代、若い世代の中国人だった。

 中国にも日本のお笑い好きは多い。「再見吧青春之光(さらば青春の光)」「蘭奢待(ランジャタイ)」「喜送奴(シソンヌ)」などお笑い芸人の中国語名はSNSや動画アプリ『bilibili』でときどき見かけるし、日本の漫才やコントに完璧な中国語字幕をつけている動画もある。

 しかし彼らの動画の再生数はけっして多いわけではない。私の知人の中国人で、日本のお笑いを知っている人はまったくいない。中国では完全にニッチな世界だと思っていた。日本でいえば、一部の人だけが知っている地下アイドルくらいの人気なのだろうか、と……。

印象を覆された「大ウケ」

 今回出演した芸人は、日本でもおなじみのチョコレートプラネット(巧克力星球)、男性ブランコ(男性秋千)、とにかく明るい安村(总之很开朗的安村 ※公演ではTONIKAKU名義)、しずる(嘶嘶声)ら。「上海喜劇節」を見て、いかにZ世代の中国人が日本のお笑いを愛しているか、その数の多さを知らされた。字幕が映されるものの、漫才やコントは日本語で展開されていた。にもかかわらず、中国客はそのおもしろさを理解して拍手し、笑っていた。そこへ中国独特の観客のノリのよさも加わって、歓声もあがる、日本のライブ以上の盛り上がりという印象を受けた。

 公演の数日後、ライス、しずる、チョコレートプラネットら出演者がそれぞれ自身のYouTubeやラジオで、上海でのエピソードを語っていた。彼らが揃って口にしていたのは、「出番前までは絶対に受けないと思ったのに、ものすごく受けた」「なぜこんなに僕たちのことを知っていてくれて、盛り上がってくれるのかわからない」というものだった。

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