決勝でハマった「令和ロマン」の戦術、新旧交代も顕著だった…今年の「M-1グランプリ」を業界のプロが総括

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 12月24日に放送された「M-1グランプリ2023」(ABCテレビ・テレビ朝日系)で、結成5年目の令和ロマン(高比良くるま=29、松井ケムリ=30)が第19代の王者に輝いた。惜しくも準優勝となったのはヤーレンズ(楢原真樹=37、出井隼之介=36)で、こちらもゴールデンのバラエティ番組ではあまり見ない顔。ニュースターの誕生をテレビマンはどう見たか。

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 関東地区の視聴率(ビデオリサーチ調べ)は、世帯17・2%、個人12・2%だった。対して、お笑いの本場・関西地区では、世帯28・0%、個人21・4%と驚異的な数字を記録した。民放プロデューサーは言う。

「リアルタイムでテレビを視聴する人が減り続ける中、大健闘と言っていいでしょう。コア視聴率(13~49歳の個人視聴率)で見ると、関東の13・9%はサッカーなど人気スポーツの世界戦並みの数字です。関西では5人に1人が見た計算になり、占拠率はなんと52・3%。これは今年のWBC並みです。凄いと言わざるを得ません」

 それだけ面白かったということだろうか。

「そうですね。優勝した令和ロマンはじめ、今年の出来は概ね好評です。ここ数年の優勝者は、22年のウエストランド(井口浩之=40、河本太=39)、21年の錦鯉(長谷川雅紀=52、渡辺隆=45)、20年のマヂカルラブリー(野田クリスタル=37、村上=39)と、正直言って勢いと奇天烈なパフォーマンスがハマったコンビが多かったのですが、今年は本来の“若手漫才師の日本一決定戦”に立ち返った決勝戦で好感が持てました」

 それには審査員が変わったことも大きいという。

新旧交代

「勇退した落語家の立川志らく師匠(60)に代わり、姉妹漫才の海原やすよ・ともこのともこ(51)が加わったことも大きいと思います。女性審査員が山田邦子(63)と併せて2人になったのも大会初ですし、彼女の祖母は女流しゃべくり漫才の草分け、海原お浜・小浜の小浜(1923~2015)で、父親も元漫才師という演芸一家の生まれです。祖母も彼女らも上方漫才大賞の大賞を受賞しており、ビートたけしさん(76)も『今の女の人の漫才で一番上手いじゃないの』と絶賛しています。それだけに彼女の審査員としてのコメントも的確で、SNSには『一生、審査員席にいてほしい』という声も出ていました」

 今年の「M-1」は新旧の入れ替わりが顕著だったという。

「たとえば、決勝のファーストラウンド10番手で登場したモグライダー(芝大輔=40、ともしげ=41)は09年から『M-1』にエントリーを続ける結成14年目のコンビで、2年ぶり2度目の決勝でしたが、今年はスベっていました。審査員の松本人志さん(60)は『モグライダーも売れちゃって、正直言って練習不足かな』と諫められていたのが象徴的でしたね。準決勝で敗退し、敗者復活も叶わなかったオズワルド(畠中悠=36、伊藤俊介=34)も、同様のことが言えると思います」

 最終決戦は、令和ロマン、ヤーレンズ、そして昨年の準優勝・さや香(石井=35、新山=32)の3組で争われた。

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