「俺は悪くない、あいつが悪い」と大物議員が責任を押し付け合い 自民党派閥パーティー裏金事件で特捜部が狙う二人の名前

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西村事務所にクレーム

「自民党派閥パーティー裏金事件」の捜査は2024年1月に通常国会が始まるまでの短期決戦である。全国から応援検事50人をかき集めて異例の捜査体制を敷く東京地検特捜部。捜査のポイントのひとつは、清和政策研究会(安倍派)の会計責任者である事務局長が「キックバック分」を派閥の政治資金収支報告書に記載しないことを決めた背景に“誰”の指示があったのか、だ。目下、特捜部は「二人の人物」に照準を合わせている。

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 安倍派とその所属議員にかけられている嫌疑は、政治資金規正法違反罪(不記載・虚偽記載)である。同法の時効は5年。その間、同派の会長を務めた細田博之元衆院議長と安倍晋三元首相はすでに他界している。

 それ故、過去5年の事務総長経験者である下村博文元文科相(69)、松野博一前官房長官(61)、西村康稔前経産相(61)、現職の高木毅・前党国対委員長(67)の四人の「不記載指示」の有無が注目されているのだ。

 そして現在、特捜部がこの「四人」の中から特に狙いを定めつつあるのが「二人の人物」、西村前経産相と高木前国対委員長なのである。両氏は他の事務総長経験者と何が違うのか。

 21年11月に派閥会長に就任した安倍元総理は翌年4月ごろにキックバック中止を提案したとされる。派閥パーティーが行われたのは、その約1カ月後。当時の事務総長は西村前経産相である。西村事務所の関係者によると、

「あの時はパー券を売り始めてからキックバックをやめることになったので、他の議員の秘書から“なんでキックバックをやめるんだよ”とウチの事務所にクレームが寄せられた」

「知り合いの記者を使って…」

 その後、派閥上層部には二つの大きな変化があった。一つは22年7月に安倍元総理が死去したこと。もう一つは、同年8月に事務総長が高木前国対委員長に代わったことである。

「西村さんがまだ事務総長を務めていた時期に、“キックバック分は個々の議員側のパーティー収入として計上させよう”という案も検討されたようです。しかし、8月に事務総長に就任した高木さんの元で方針が転換された。結局、9月にかけて従来通りの方法でキックバックが行われたとみられています」(全国紙社会部デスク)

 安倍氏がキックバック撤廃を訴えたにもかかわらず、従来通りの裏金作りが許された……。そうした「重要決定」を下したのは西村前経産相だったのか、それとも高木前国対委員長なのか。

「西村さんと高木さんは互いに責任を押し付け合っているようですね」

 と、明かすのは清和会関係者である。

「二人とも、“俺は悪くない、あいつが悪い”という情報を知り合いの記者を使って流そうとしているようですが、余裕があるのは西村さんのほうらしい。自分は安倍さんからキックバックをやめるよう言われて検討した立場。従来通りの方法でキックバックしたのは高木さんだから、ということなのでしょう」(同)

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