“かわいいだけじゃダメ”…にNO なえなの、元テレ東・森香澄も所属するseju “令和の芸能プロ”の戦略を仕掛け人が語る
2023年も暮れ。今年のグラビア業界を振り返る中で非常に目立った事務所が「seju」だった。なえなの、森香澄、本郷柚巴に加え、桑島海空、今森茉耶などグラビアでの活躍が目立ったタレントが多数所属している。「seju」とはいったいなんなのか。令和の美女軍団に迫った。【徳重龍徳/グラビア評論家】
【写真】令和の“かわいい”を見よ――なえなの、森香澄、本郷柚巴 ほかsejuの所属タレントたち
六本木ヒルズ森タワーの31階にエレベーターで上る。ラフな格好の社員たちが行き交ういかにもIT企業といったフロアに〈今の時代の「可愛い」を発信するプロダクション〉とうたう「seju」はある。
今年、バラエティー番組での活躍が目立ったなえなの、テレビ東京の元アナウンサー森香澄が所属する事務所と聞けば、わかる人もいるかもしれない。
グラビアの世界でもsejuの勢いは凄まじかった。「週刊プレイボーイ」「ヤングマガジン」の表紙を飾った桑島海空、ミスマガジン2023グランプリに輝いた今森茉耶、12月にファースト写真集を出す川口葵、さらに7月には元NMB48でトップグラドルの本郷柚巴も移籍してきた。
Z世代こそ「ルッキズム」
躍進するsejuはインフルエンサーを多数抱えるプロダクション「GROVE」内のレーベルだ。率いる上田悠一郎さんは現在35歳。sejuのはじまりは、なえなのだったと語る。
「GROVEはインフルエンサーやYouTuberだけでなくVTuberのプロダクション、さらに代理店業と業務が多岐にわたるようになっていて、一度整理するためにレーベルを作る方がいいだろうとなったんです。そのためには誰かを看板として立ち上げる必要があるとなった際、僕が当時担当していたなえなので一旦立ち上げてみようとなりました」
2022年にスタートしたsejuは、現在、約40名のタレントを擁する。なえなのを筆頭にsejuに所属する女の子たちを、上田さんは「SNSは頑張っているけれど、その先のゴールがYouTuberやインフルエンサーではなく、テレビや雑誌といった従来のマスメディアに出ていきたいという子」と語る。
「YouTuberであれば、例えば物凄い手品ができたり、ピアノが弾けるとか、何か一芸があってフォロワーが増える。理由がわかりやすかったんです。でも、なえなのやsejuにいる子たちは、かわいい以外に特段フォロワーが増えた理由がない。なので以前はテレビに出ても、これができるというものがなく、扱いもしっくりこない。でも彼女たちも同年代の子に何か刺さったから支持を得ている。こうした子たちをなんとか売りたいと思ったのが、sejuを始めた理由です」
“かわいい”だけではダメ、と世間は別の何かを求めがちだ。だがZ世代は“かわいい”により厳しくなっているという。
「今の10代、20代と接していると意見や考え方が0か100なことも多々あり、僕らの時代よりも逆にルッキズムかなと思います。いろんな情報があって、努力すればかわいくなれると知っている分だけ逆に厳しいですし、ネットでちょっと見ただけでこの子がかわいい、こっちはかわいくないと断言します」
だからこそ、Z世代に“かわいい”と認められるだけで十分な才能だ。
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