“ブルジョアジー諸君!”と絶叫、「頭脳警察」PANTAさんが「左翼以外にも人気」だった理由【2023年墓碑銘】

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過去の自慢をしない

「赤軍兵士の詩」や「銃をとれ」も人気を呼び、請われて闘争現場の三里塚でも歌う。歌詞が過激だとして、72年、第1作のアルバムが発売中止。2作目も発売早々に回収された。一層注目を浴びるが、曲が表面的に捉えられイメージが一人歩きしていると疑問を感じ始める。75年に解散。

 PANTAさんはソロや別のメンバーとバンドを組んで活動を継続した。ラブソングを歌うと、頭脳警察時代と違うと不買運動を起こされたことも。沢田研二、荻野目洋子、チェッカーズらに楽曲を提供し評価された。

 90年に短期限定で再結成。2001年以降、断続的に頭脳警察として活動。

「今を生きる人で過去の人気を自慢しない。相手の話を最後までしっかり聞く。洞察力があり、謙虚で優しい人でした」(増渕さん)

 一水会代表の木村三浩さんらと03年にイラク、18年にはクリミアを訪問した。

「物事を一面だけで捉えず実際に確かめる現場主義者でした。決めつけず感情的にならずこれまでの経験と突き合わせ、自分の考えを深めていました」(木村さん)

 拘置所の中の日本赤軍元最高幹部、重信房子と手紙を交わし曲を作りもした。

 21年に肺がんと診断されるが活動を続けた。6月14日のステージが最後だった。

 7月7日、73歳で逝去。

 還暦を過ぎてから、「オンリーワンとかナンバーワン どっちだっていいだろうよ バカらしい」と歌った。突き放しているようで温かな真意が伝わってくる。

デイリー新潮編集部

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