「国民に無理やり売りつけ、現在の価値は実質ゼロ」 NTT法廃止論で急浮上「固定電話加入権」はどうなる?

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 家に固定電話を引く際の「電話加入権(施設設置負担金)」を覚えているだろうか。20年ほど前で約7万2千円。だが、今では値段もつかないのだという。その加入権がにわかに問題になっている。

「NTTはNTT法によって設立された特殊法人ですが、自民党はNTT法の役目が終わったとして法律の廃止を提言しているのです」(総務省担当記者)

 問題は、同社の「特別な資産」だ。NTTは全国に110万キロの光ファイバー網、650キロに及ぶ洞道(とうどう・通信ケーブル等を通すトンネル)などを持ち、ライバル社も使用している。民間企業になればNTTが使用料の大幅値上げを求めてくるかもしれない。12月4日にはKDDI、ソフトバンク、楽天などの首脳が会見を開き、法律廃止に反対を表明。なかでも、ソフトバンクの宮川潤一社長は、〈(NTT法を廃止にするのなら)電話加入権を国民に返す議論もあってしかるべき〉と指摘したのだ。

「現在の価値は実質ゼロ円」

 どういう意味か。加入権の価値を毀損されたとして、かつてNTTグループ会社と国を訴えた前波亨哉氏(日本テレシス元社長)が言う。

「加入権は旧電電公社(後のNTT)が電信電話網を拡充させるための都合の良い資金調達手段だったのです。そのため、電話を引く際には購入を義務付け、財産として譲渡できることをアピールしていました」

 加入権が財産ならその代金が注ぎ込まれたNTTの資産と無関係ではあるまい。

「しかし、全国に電話が行き渡るとNTTは所有者に断りなく加入権の価値の引き下げを行いました。1997年に加入権が必要ないライトプランを導入し2005年には加入権そのものも半額に。現在の価値は実質ゼロ円です」(同)

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