M-1敗者復活の「シシガシラ」 本人が語っていたコンプラ時代の「許されるハゲネタ」の極意

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最初は手を出したくなかった

 そうして2018年に結成された「シシガシラ」だが、意外なことに、当初2人は「ハゲネタ」をやるつもりは全く無かったという。

脇田:浜中さんと組む前、僕は男女コンビだったんですけど、男女コンビっぽいネタをほとんどやってなかったし、だからといって「ハゲネタ」をやってたわけでもないんです。それに、ネタ以外でも、舞台上で他の芸人からハゲをいじられることもほとんどありませんでした。

浜中:その中で僕は、楽屋とかで割と脇田さんをいじってた方だったかもしれない。といっても「ハゲ田さん」とかって軽くいじるくらいで、脇田さんも大してツッコまないし、ハゲキャラってわけでもなかったよね。

脇田:そうそう。もちろん、僕はその頃からハゲてはいましたよ。でも、そんないじり方を許さないような尖った人に見られてたのかな。どう見てもハゲてるからこそ、「こいつはいかにもハゲネタやりそう」っていうお客さんの予想を裏切りたいみたいな、天邪鬼なところもありました。だから「シシガシラ」を結成して初めてのネタ見せでも、普通の漫才をやったんですよ。

浜中:そうしたら、ネタを見てくれた芸人から「2人ともこれが最後のコンビって覚悟でやってるんだろうから、そろそろ真正面からハゲネタをやるべきなんじゃないか」って言われて、じゃあやるかって。

脇田:これまで手を出してこなかった「ハゲネタ」だから、やったら多分ウケるんだろうとも思ったけど、「踏み込んじゃっていいのか、この世界」って不安がありました。

浜中:1、2本作ったらネタが尽きるんじゃないかとも思ってましたね。それがいざ作ってみると意外といけて、僕が「世界から見たハゲ」の視点、脇田さんは「ハゲから見た世界」の視点を持ってネタが作れるので、そこが上手いこと回っているんだと思います。

誰もやってない「ハゲネタ」

脇田:ハゲを使った笑いっていっぱいあるから、やるからには今まで誰もやってこなかったことをやろうっていうのは決めていました。こういうネタは誰かがやってる、あれもやってる……となって、隙間を狙っているうちに消去法で出来たのが僕らのネタです。

浜中:実は、脇田さんのハゲをいじったネタかって言われると、そういうつもりで作っているわけではないんですよ。ネタにもよるんですけど、僕はずっと正論しか言ってないのに、それがハゲにとっての常識とはどんどん離れていくみたいな作りの漫才が多い。

脇田:他の容姿いじりと違って、ハゲって誰が見てもハゲだから、お客さんはスッと受け入れられると思うんです。だから僕らの漫才を見た時、最初は、ハゲてる人がハゲてることやるんだって気軽な気持ちで入るんですけど、実はしっかり構成を作った漫才なんで、「あれ? なんかちゃんとしてるな」ってなるはず。ハゲがハードルを下げてくれるのはありがたいので、その分「ハゲネタだったらこんな感じだろう」っていうお客さんの思い込みを裏切りたいと思ってます。

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