藤原紀香がいま再評価されるワケ 代表作が無くても必要とされる意外な理由とは
「一周回って好き」の再評価のワケ 自分で自分の機嫌が取れることの良さを体現
念願だった日本代表の一角を担うという役割を得て、いきいきと振る舞う姿は、今や「一周回って好き」と好感をもって受け止められている。
藤原さんは著書『藤原主義』で、「私のよさは思い込み力」「私は生来、人前でもテレずに堂々と、瞬間的にその場面や状況に『入り込める』という特技をもっている」と記していた。
そう言われると憑依型女優のように聞こえるが、憑依というよりは自己陶酔を感じさせる。だから見ている側としては笑ってしまう時もあるのだが、その突き抜けた自己陶酔が仕事に大きな実りをもたらすことも事実だ。
分刻みといわれる家事をこなし、夫のごひいき筋へあいさつに回り、徹底して夫を支える梨園の妻ぶりに、関係者からの評判は上々だという。さらに先日の日本テレビ「THE MUSIC DAY 2023」で見せた、中森明菜さんの「DESIRE」の完コピぶりも話題になった。
ある時はロイヤルレディー、ある時は梨園の妻、ある時はコテコテの関西人。ボンドガールも顔負けの七変化を見せる藤原さんには、当たり役などいらない、やりたい役をやりたいようにやるという自己肯定感の高さがうかがえる。その表裏のない、あふれる陽のオーラは、芸能界でもそうそうお目にかかれない。よく「自分で自分の機嫌を取る」ことの良さが語られるが、藤原さんはまさにそれを体現している人なのだろう。
夫婦共演を果たした「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」もヒットしている。藤原さん演じる神戸市長が言う、「神戸はおしゃれもお茶目もてんこもり、海外交流も豊か」というセリフは、藤原さんの自意識そのものだなと思ったものだ。
そして観終わったあと、きっとノミネートされる前から日本アカデミー賞受賞式のスピーチとドレスを考えているだろう姿が容易に思い浮かんでしまった。実際にそんな姿を見ることはできずとも、おそらく友近さんが解像度の高いモノマネで実現してくれるはずだ。知らんけど。