藤原紀香がいま再評価されるワケ 代表作が無くても必要とされる意外な理由とは

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ここぞという時の「皇室ファッション」……「日本を代表する〇〇」を求め続けていた空回りの時期

 藤原さんは昔、「ボンドガールをやりたい」と公言していた。ただそれは、海外でも通用する女優になりたいというよりは、「日本代表」として扱われる肩書がとにかく欲しいのかもしれないと思ったものだ。そして最も彼女の理想を体現しているのは「皇室」だったのだろう。陣内智則さんとの結婚式で十二単(ひとえ)を着て登場した時、いろいろと彼女の行動原理が分かったような気がした。

 十二単なんて、皇室の結婚式でしか見たことがない。一般人ならちょっと気後れするというか、着ようとも思わないのではないだろうか。けれども藤原さんにそんなためらいはない。コスプレ感の否めない束帯姿の陣内さんをよそに、満足感に満ちたほほ笑みを報道陣に向けていた。

 その後も、「日本を代表するセレブ」を意識した行動、とりわけチャリティー活動には熱心だったようだ。オードリー・ヘップバーンやアンジェリーナ・ジョリーなど、慈善活動が有名な海外の女優は多いが、藤原さんもケニアや紛争後のアフガニスタンを訪問。写真展などを積極的に開催し、文化人としての一面も堂々アピール。初代広報特使として日本赤十字社のイベントに出た時は、上皇后様とも対面を果たした。なおその時の写真が残っているが、白い小さな帽子とスーツの装いが上皇后さまと“完全一致”。藤原さん、やはり皇室への並々ならぬ憧れがあるとみえる。

 日本を代表する存在でありたい。日本代表としての使命を果たしたい。その意気込みは時に、反発を呼んだ。

 有名なのは2016年の熊本地震の際、「火の国の神様、どうかどうか もうやめてください。」とつづったブログ騒動だろう。もともと霊感体質だという藤原さん、「日本を代表して神様に呼びかける、それが私の使命」という思いがあったのかもしれないが、「神罰が下った」とも取れる書き方が被災者の心を逆撫でしていると炎上してしまった。

 役柄より役割を求め、空回りを続ける藤原さんだったが、愛之助さんとの結婚を機にだいぶ落ち着いた。それは梨園の妻という、一歩下がって夫を支えることが求められる環境だけが理由ではないだろう。歌舞伎という、まさに日本を代表する文化の人気役者の妻という役割。ようやく自意識と合致する理想の立場を得られたからではないだろうか。

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