藤原紀香がいま再評価されるワケ 代表作が無くても必要とされる意外な理由とは

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 藤原紀香さんは、美人だがどこか滑稽な人である。正確に言えば、滑稽な自意識がはみ出ている人ではないだろうか。

 ミス日本グランプリ受賞者で、島田紳助さんをして「中古車センターに新車のフェラーリがおる」と言わしめた日本人離れしたプロポーションと美貌。ゴージャスな見た目と明るいキャラクターは瞬く間にお茶の間を席巻した。ドラマやCMだけでなく、K-1や音楽番組の司会など、活躍の場を広げては紀香センセーションを巻き起こしていったのだ。

 しかし見るたびに胸焼けするような感覚を覚える人も出てきたのだろう。とにかくすごいスタイルのいい美人、として見ている分にはいいのだが、藤原さんからは「ただの美人じゃないんです。わたしガッツもあってお笑いもいける関西人なんです!」という前のめり感が常に出ていた。サービス精神にあふれているのはわかるのだが、どこか過剰にセルフイメージを押し付けてくる人だという印象だった。

 胸の谷間もあらわなドレスで、ノリノリで体を揺らしながら歌う「いなかっぺ大将」や「GU-GUガンモ」のモノマネ。帰国子女でもないのに「オーマイガッ」が口癖だとバラエティーで語る一方で、片岡愛之助さんとの結婚会見で見せた、つい口をついてしまった、と言いたげなわざとらしい関西弁。どれもこれも「こう見られたい」という自意識がわかりやす過ぎて、一時は「イタい人」扱いされていたのではないだろうか。

 それが見た目も演技も大味というか、繊細な所作ができなそうな人という偏見も生んだのかもしれない。長い間、「代表作なし」「代表作はレオパレスかバスロマンか披露宴」と揶揄されていた。

 本当に代表作は無いのかと言われれば、そんなこともないだろう。「ナオミ」とか「スタアの恋」とか、浮世離れした美女の役はぴったりだったと思う。しかしそもそも、藤原さんは代表作が欲しかったのだろうか。彼女が欲しかったのは、「役柄」ではなく「役割」ではなかろうかと思うのである。

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