「獄中に7カ月」「出所後は“思想教育”」 亡命した香港民主化運動の女神・周庭(アグネス・チョウ)が明かした中国の人権侵害の実態
「すべては“やらされたこと”」
周庭氏は言う。
「私は香港の人にも世界の人にも、国安警察はこういう手段を使っているということを伝えたい。それをしないと私が書かされた文書や撮られた写真は、私が“愛国者”に転向した証拠にされてしまう恐れがある。私が真実を公表しないと“周庭は民主化運動を諦めて愛国者になった”とアピールする材料に使われてしまいます。国安法で逮捕された他の人々に同じ手段が使われる可能性がある。それだけは避けたかった。すべて“やらされたこと”なのです」
そして日本の国民にも、
「この2~3年、日本で香港の問題が報道されることが少なくなった。私の経験を発信することで、また皆さんに関心を持っていただければと思います。引き続き香港の現状を伝えていきたい」
恐怖からの自由
彼女はInstagramの投稿をこう結んでいる。
〈ここ数年、切実に感じていることがあります。恐怖からの自由とは、どれほど価値があるものだろうかということです〉
〈自由は、たやすく手に入るものではありません。不安におびえる日々のなかで、自分を忘れず、自分に関心を持ち、自分を愛しているすべての人々をより一層、大切に思います。近い将来、私たちが再び集まり、互いにしっかりと抱き合えることを願っています〉
彼女が再び祖国の土を踏める日は来るのか。
異形の大国とのたった一人の戦いは、とかく彼の国に甘いこの日本に対しても、大いなる警告を発しているように読み取れるのである。
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