「6千万円の裏金を着服」 共同通信ソウル支局長のカネの作り方と使い道は?

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 共同通信のソウル支局長だった40~50代の二人の男性が今月8日、計約6千万円の経費を着服したとして懲戒解雇された。いったい、これだけの大きなカネは何に使われたのか。また、報道機関の海外支局ではどうして、経費の私的流用が相次ぐのだろうか。

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 このたび懲戒解雇となったのは、ソウル支局長を2012年4月から18年2月まで務めた粟倉義勝記者と、同支局長の後任を18年2月から22年8月まで担った岡坂健太郎記者の二人。

「着服の手口は、日本の本社から毎月円で送られてくるソウル支局の運営資金を、支局長が実際よりも低い交換レートでウォンに両替したと偽り、差額を裏金にするというものでした。支局長時代、これで粟倉記者は約3230万円、岡坂記者は約2780万円を得たそうです。すでに二人は着服金を返還しており社は警察に被害届を出さないとのことです」(共同通信関係者)

 発覚に至った経緯は、

「慣例化していたこの手口を岡坂記者はソウル支局長になった時、前任の粟倉記者から引き継ぎました。しかし、彼は仕事仲間からこれを“マズイのではないか”と指摘され、自責の念に耐え切れなくなり、告白してしまったようです」(同)

二人の記者の素顔とは?

 在韓の日系メディア事情に詳しい記者によれば、二人の素顔は次の通りだ。

 まず、1994年入社の粟倉記者については、

「若い頃は大阪社会部や神戸支局などに所属していました。刑事に気に入られる硬派な記者でしたが、部下に当たりが強すぎるという悪評も高かった。外信部に移って06年からソウル特派員となり、同支局長を経て、以降は北京支局で勤務しました。中国を拠点に金正恩の動向などを報じてきた、北朝鮮情勢のプロフェッショナルだといえます」

 一方の岡坂記者は01年の入社。前任者とは毛色が違っていたそうで、

「穏やかで優しい性格です。国内の支局を回ってから科学部を経て、12年に外信部に移りました。ニューヨーク支局で勤務した後、社命で16年に延世大学に留学しています。ソウル支局長時代はK-POPから日韓関係まで、幅広く韓国情勢を報じていました」(同)

 勉強熱心な反面、人付き合いはあまり得意ではなく、飲みに出かける機会は多くなかったという。

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