「恋人たちの聖夜」って何? いつのまにか「クリスマスイブ」が“家族や友達と楽しむ日”になっていた

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作られた雰囲気

 だからこそ、今のクリスマスについては、その描き方やライフスタイルの提案として「ギラギラしたセクシーな男女のためのもの」というよりは「老若男女誰もが気の置けない仲間と楽しむ日」といったものに変えたということだろう。

 だからやろうと思えば、いつだって「梅雨入りの日はホテルで愛を確かめ合う日」などとホテル組合(そんなもんあるのか?)的な組織がキャンペーンを始めればコロリと日本人はそちら方面に動かすことができる。12月19日、宝くじ売り場に長蛇の列ができていたが、メディアがしきりと喧伝した宝くじを買うのに最適だという「一粒万倍」の日だったと後になって分かった。

 1980年代後半~1990年代前半の異常なクリスマスイブの「相手がいないヤツは負け組」的雰囲気は作られたものだった。しかし、あの時の熱狂を忘れられないスケベ50~60代男が「クリスマスイブは不倫の日」などと提案し始めないかとの心配も心のどこかにある。ヤツらだったらやりかねん。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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