「僕はパーソナリティーの魅力に欠けている」 「NHK新人落語大賞」の桂慶治朗が明かしたコンプレックスと、意外な転機
「落語家に向いていないと思うことも」
27歳での転身。晴れて前座見習いとなった慶治朗は、年下の兄弟子たちに交じって師匠や大師匠の身の回りの世話に励んだ。
「大師匠は好奇心旺盛。テレビを見ていて“これ、何や?”と尋ねられ、説明することはしょっちゅうでした。その経験はいまの高座にも生きていると感じます。近くで過ごした時間のすべてが幸せでしたね」
入門からの12年は、決して順風満帆とはいえなかったと振り返る。
「僕はパーソナリティーとしての魅力に欠けていて、その点では面白くない。自分に自信が持てず、自分は落語家には向いていないと思うこともありました」
そこに意外な発奮材料が。
「入門して5年目の時、すでに落語から離れた方が入門1年目くらいで録音した音源を聴いたらうまかった。自分が負けていると感じて、以降は純粋に“披露する落語の面白さで勝負しよう”と思い直した。“慶治朗が面白い”というよりも“落語って面白い”と思ってもらえたらいい」
謙虚な姿勢と素直な態度が引き寄せた大きなご褒美。
「勝ち取ったというより“頂いた”との感覚です。とはいえ、自信になりましたし、僕をより多くの人に知っていただくきっかけにもなった。いずれは僕が喋り始めただけで“この落語家の噺をもっと聴きたい”と思ってもらえるようになりたい。常に質の高い落語を披露して、より楽しめる落語会も開催したい」
来年1月にはNHKラジオ第1「NEXT名人寄席」への出演が、2月には東京・日本橋で独演会が予定されている。