大谷翔平の巨額契約「1015億円」のわずか“3分の1”…スポーツ国家予算「359億円」で“後進国”になり下がった日本の現実

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とても足りる額ではない

『7年総額700億ドル(約1015億円)で契約』の第一報から『世界で1億人以上が見た、ドジャース入団会見』まで、この数日間は「大谷翔平巨額契約」のニュースで日本列島はお祭り騒ぎだった。暗いニュースばかりの社会にあって、「大谷だけは明るい話題だよね」と語り合う声が人々を陽気にさせているが、スポーツライターの私には大谷の話題も「ひと皮むけば悲惨な日本の状況をあぶり出す空しい出来事」に思え、大騒ぎする気になれない。

 みなさんは、日本スポーツの国家予算がいくらかご存知だろうか?

 今年(2023年)のスポーツ庁の年間予算が359億円。このうちパリ五輪や2026冬季五輪に向けた強化費が100億5000万円。文科省の肝いりで進める「運動部活動の地域移行」の関連予算が約24億7000万円(この額で地域移行は無理!)。それらを除けば、約234億円で日本のスポーツ環境の整備や老若男女のスポーツ振興まですべてを網羅する。とても、足りる額ではない。いずれにせよ年間予算の総額が、大谷翔平ひとりが受け取る契約金の約3分の1という現実をみなさんはどう感じるだろう?

財源がない

「WBC優勝で日本が元気になった!」「大谷は日本の誇りだ!」と持ち上げるのはいいけれど、その基盤となるスポーツ予算は「この程度」しかない。つまり、政治家や官僚、そして日本社会の「スポーツの価値評価」はこの程度のもので、「スポーツなど多額な国家予算を投入するほど重要ではない分野」と見下されているも同然だ。それでいて、五輪開催となれば彼らはスポーツを利用して1兆円を超える額を動かす。政治や大企業に翻弄され利用され、実際は冷遇されている。そのことを強く訴えるスポーツ人もほとんどいない。スポーツ庁の室伏広治長官もJOC山下泰裕会長も、この359億円、あるいは100億円超の強化費を確保するため政治家たちに平伏するのに懸命で、「二桁違う国家予算が必要だ」と真剣に提言する展望も覚悟も持っていない。こんなスポーツ人をリーダーにしている日本スポーツ界は本当に悲劇だと思う。もっとも、こうしたリーダーを選んでいるのは政治の側で、政治に都合よく迎合するリーダーを据えているのに違いない。

 防衛費を倍増する前にスポーツ予算を増額すべきだとスポーツライターは切望する。スポーツを通じた国際親善によって平和への貢献をする、それを日本の姿勢とし防衛費よりスポーツ予算をまず飛躍的に増大させる発想を共有すべきではないだろうか。そんな主張をするとすぐ政治家も役人も「財源がない」と言う。

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