今年の紅白も「津軽海峡」だったけれど… 65歳「石川さゆり」の新曲が密かにヒット中

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2015年以来の5週連続オリコン入り

「越後瞽女」のほうも5週連続オリコンTOP100入りで、石川としては2015年に吉幾三が詞曲を手がけた「あぁ…あんた川」(TOP100内13週)以来のヒット。今後のプロモーション次第では、ロングヒットしそうだ。

 本作は盲目ゆえに生活手段として三味線などを弾き語る女性の旅芸人・瞽女をテーマにした楽曲だが、石川の担当マネージャーに聞くと「石川は以前より日本の文化・伝統を知らない人が増えていくのを危惧していました。10年以上前、最後の瞽女である小林ハルさんのことを知り、生きるために磨かれた芸を伝えたいと思ったのが、歌うきっかけになりました」とのこと。小林氏の愛弟子に直に瞽女三味線や瞽女唄を教わり、NHKのラジオ小説や名古屋・御園座での1カ月公演で演じるほどのチカラの入りようだ。

 石川の担当ディレクターは「(生き抜く)力強さと(恋の)切なさが同居しているので、歌い分けの整理が大事」とカラオケでのアドバイスを説く。これまでも「天城越え」や「風の盆恋歌」、「飢餓海峡」など日本の原風景と女の情念を絡めた名作が多い石川だけに、この「越後瞽女」がさらなる代表作となることを大いに期待したいところだ。

臼井孝(うすい・たかし)
人と音楽をつなげたい音楽マーケッター。1968年、京都市生まれ。京都大学大学院理学研究科卒業。総合化学会社、音楽系の広告代理店を経て、'05年に『T2U音楽研究所』を設立し独立。以来、音楽市場やヒットチャートの分析執筆や、プレイリスト「おとラボ」など配信サイトでの選曲、CDの企画や解説を手がける。著書に『記録と記憶で読み解くJ-POPヒット列伝』(いそっぷ社)、ラジオ番組『渋谷いきいき倶楽部』(渋谷のラジオ)に出演中。データに愛と情熱を注いで音楽を届けるのがライフワーク。

デイリー新潮編集部

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