早くメジャーに行きたい22歳「佐々木朗希」に立ちはだかるMLB「25歳ルール」、ロッテ「常勝軍団化計画」

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順調なロッテの戦力補強

 12月13日、千葉ロッテが18、19年のセ・リーグ本塁打王で前DeNAのネフタリ・ソト(34)の獲得を発表した。今季の本塁打王は千葉ロッテのグレボリー・ポランコ(32)だが、残留交渉もまとまり、右打者のソト、左打者のポランコが並ぶ強力打線ができあがった。

「投手では、ロングリリーフも可能なジュニオール・フェルナンデス(26)と、セットアッパーとしての実績も十分なニューヨーク・ヤンキースのジミー・コルデロ(32)を獲りました。外国人選手の補強では例年以上に早い動きを見せています。現役ドラフトでは、埼玉西武の愛斗(26=武田姓)を指名しましたが、これは来季39歳を迎える荻野貴司をカバーするためです。ピンポイントで的確な補強が続いています」(スポーツ紙記者)

 ロッテは今季、2位に躍進した。今回の補強は来季、05年以来のリーグ優勝を意識してのものだが、気になる点もある。コルデロは今年7月、DV事件で出場停止処分を下され、制限リスト入りしている。その期限は今季終了までだったが、それまで在籍していたヤンキースはもちろん、MLB各球団は入団交渉をしなかった。ファンの反発を恐れてのことだが、実は22年途中に入団したロベルト・オスナ(28=現ソフトバンク)も、似たような“過去”があった。

「18年、女性に対するDV事件で75日間の出場停止処分が下され、同年途中にトレード放出されました。以後、右肘を負傷したこともあって、メキシコリーグでプレーしていました」(米国人ライター)

 もっとも、オスナのロッテ入団後の活躍と、現在の野球に対する真摯な姿勢を見れば、過去のDVを蒸し返されることもないだろう。MLB はNPBとは異なり、司法判断などとは関係なく、独自の処分を下している。特にDVトラブルには厳しい。だが、ロッテが見つけてきたオスナは活躍している。私生活も含め、事前にしっかりと「調査」したということだろう。

 ロッテの調査について、こんな指摘も聞かれた。

「今季本塁打王のポランコだけでなく、他球団に在籍した外国人選手を獲るケースも多いです。メルセデス(29)、レアード(36)、チェン・ウェイン(38)、スタンリッジ(45=18年引退)など。爆発的な活躍はないかもしれませんが、計算がしやすい。旧在籍チーム時代の成績も知っているので過度な期待や役目も負わせないことで、選手本人にも余裕を与えている」(前出・記者)

 近年、NPBに来る外国人選手全体の成績がパッとしないせいもあるのだろうが、こんな見方もできる。22年に巨人と契約したポランコは、同年の本塁打数は24本。千葉ロッテに移籍した今季は26本。安打数や打点も増えている。来日1年目よりも、変化球の割合が多いNPB投手の特徴を掴んだことも大きいが、千葉ロッテが「より働きやすい環境」を与えているからだろう。

「チームとして、明確なビジョンを持つようになりました。25年に自他ともに認める令和の常勝軍団になるという球団理念も策定し、そのための基盤作りをしています」(前出・同)

2025年に常勝軍団へ

 2022年3月、ロッテの河合克美球団社長(当時)は、こう宣言している。

「10年後、20年後にマリーンズはどうなるのか? どんなチームであって欲しいのか? そして、どうあるべきか。マリーンズはどういうチームなのかという自己分析も定まっていなかった。そのなかで、絶えず勝つ、絶えず優勝、誇りであると思われたいという声が球団のなかから出てきた。2025年には、常勝軍団になっている。それがみんなの明確な目標です」

 常勝軍団化の象徴的存在が、佐々木朗希(22)である。佐々木をNPB全体のエースに育てることを目標に、先発登板する際にも「球数制限」をつけてきた。プロとして十分な体力がつく前の投球過多は、故障の原因にもなりかねないからで、ファンも「25年にフル稼働してもらえれば」と、佐々木に勝ち星をつけるよりも球数制限を優先する采配を好意的に捉えてきた。

「昨季は完全試合も達成している佐々木ですが、シーズンを通してローテーションを守ったことはまだありません」(前出・同)

 その佐々木が予想外の動きを見せている。一部報道によると、今オフのポスティングシステムによる米球界挑戦を訴えていたという。「まだ早すぎる」というのが周囲の一致した意見だった。過去、ポスティングシステムを使ってメジャーリーグに移籍した選手は、2~3年の時間をかけて球団と話し合い、実現させてきた。

 今オフでは埼玉西武の投手・高橋光成(26)が、ポスティング移籍を球団に要望。渡辺久信GMから「気持ちは分かるが、必要な戦力。来季、このチームで優勝して、みんなが『行ってこい』という雰囲気で行くのがいい」という説得を受け入れて見送っている。佐々木も高橋と同じような理由で説得されたとみられるが、それにしても早すぎるという声が多い。

「大谷翔平(29)は日本ハム入団5年目のオフにポスティングシステムでエンゼルスに移籍しました。今春のWBCで佐々木は大谷やダルビッシュ有(37)、吉田正尚(30)らとも話をしており、大きな刺激を受けています。気持ちはよく分かりますが、球団は早期の米国行きを認めないでしょう」(球団関係者)

 佐々木が大谷と同じ「5年目のオフ」を意識しているのであれば、来年のオフとなる。25年に優勝、日本一を達成するという球団の青写真を考えれば、「あと1年待て」と言い出すかもしれない。

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