悪質ホスト問題、「男の子を責める気は起きない」 ホスト協会会長がタイで見た“日本文化”としてのホストクラブ
「男の子を責める気はまったくない」
立場上はっきりとは言えない北条氏の思いを代弁させてもらうならば、「一部のやり過ぎた輩のせいで“真っ当に”やってきた店もイメージが悪くなり、やっていられない」というところだろう。
悪質ホストにさぞ苦々しい思いを抱いていることだろう……と思いきや、それも違うと言う。
「そういう男の子、そういうお店を責める気はまったくない。競争、競争で競っていった末に、誤った方向になってしまっただけ、そう思うんです。誤解を恐れずにいえば、わたしが今の令和の時代のホストだったら、高額な売掛をやってしまったかもしれない。それが努力の方向だと疑わなかったかもしれない。誰も悪人になりたくてホストになるわけではないんです。売れっ子になりたい、がんばりたい、その努力の方向が誤ってしまって悪質ホストになってしまっただけだと思うんです。それは僕ら大人たちの責任でもある。そういう若い子たちに未来を残したくて、団体を立ち上げるというのもあります。だって変な闇バイトをやるくらいなら、ホストのほうがぜんぜんまともではないですか」
タイで見た光景
北条氏は昨年末にタイのバンコクを訪れた。実はバンコクにも50店舗のホストクラブがあるのだそうだ。
「箱はパチンコ店くらいの大きな規模でしたが、完全に日本のホストクラブが“輸入”されていましたね。違うのはシャンパンではなくワイン。関税の関係でシャンパンは高くなりすぎてしまうらしいです。テキーラもなくてウイスキーで、ショットグラスでタワーを作っていました。“狙い撃ち”(高額な酒を頼むと山本リンダの曲が店内に流される)なんかもあったりして感動しました。お客さんは年配の女性や風俗店の女の子たちで、日本と同じなんです。台湾やタイの留学生がお店にいらっしゃることは以前からありました。そういう方が帰国し、広めてくださっているのかもしれません」
ホストが日本の文化として世界に広がりつつある――ということなのか。であればなおのこと、歌舞伎町のホストクラブは襟を正す必要があるだろう。