悪質ホスト問題、「男の子を責める気は起きない」 ホスト協会会長がタイで見た“日本文化”としてのホストクラブ

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前編【新団体「ホスト連絡会(仮)」代表が初めて語る「悪質ホスト問題」 売掛は本当になくなるのか、闇営業化しないのか】からのつづき

「悪質ホスト問題」 を受け、来年4月に業界団体「ホスト連絡会(仮称)」が設立される。その代表に就く「歌舞伎町ホストクラブ協力会」会長の北条雄一氏が、自らの考えを初めて明かした。

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 今回、悪質ホスト問題が浮上した背景には、総額2億円を騙し取った「頂き女子」がホストに貢いだと供述したこと、そしてAV新法の新設にもかかわった立憲民主党の塩村文夏(あやか)参院議員が問題提起したことが大きいとされる。北条氏自身は、いつ頃から問題を認識していたのだろうか。

「よく歌舞伎町の看板や広告トラックに“1億円プレーヤー”と紹介されているホストがいて、『自分の頃より稼いでいるんだな』とは思っていました。また、わたしの知っているホストクラブの方針とは違うといいますか、『コーラ1本で100万円』とか『ヤクルト1本で数十万円』といったお店、シャンパンを入れてもらっても実際には出さないといったホストクラブがあることは聞いていました。それだけの金額をとるとなると、当然、売掛金が高いのだろうと想像はついていました。各店の営業方針なのでわたしの立場からどうこう言うのは難しいのですが……『それは違うのでは』という思いは個人的にはあるのですが。はっきり問題として認識したのは、11月に国会の審議で取り沙汰される少し前からです」

 問題になっている売掛金(ツケ払い)そのものは、ホストクラブの黎明期から存在するシステムである。もちろん、と言ってしまえば語弊があるが、現役時代の北条氏も行っていた。

「とはいえ20~30年前は、スーパー売れっ子のホストでも売掛は最高で100万円あるかないかくらいだったのではないでしょうか。わたしもそれぐらいだったと思います。誕生日の月はお客様が奮発してくれて高くなることもありましたが、そうでなければ50万円くらいが普通。今だって、きちんとしたお店であれば、とんでもない額の売掛を認めることはしません。悪質とされているホストは、20代の女の子に数千万円の売掛を背負わせ、しかも借用書まで書かせたケースもあるといいますから、本当なのか?と耳を疑ってしまいます」

 売掛の高額化は、ホストの質が変わった影響もあるかもしれない。従来のホストは、ルックスはもちろん、トークを含めた接客能力を求められていた。テーブルの上が散らかっていれば「仕事ができない」と客から叱られたと、ベテランのホストが語っていたことがある。ところが今はSNSの時代。TikTokでいかに“映える”か、客を店に呼べるかが重視され、なかばアイドルのように客から見られる。担当ホストというより“推し”となり、それが金を貢ぐ原動力となっていったことが問題の背景にあるとも、そのベテランホストは言っていた。

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