新団体「ホスト連絡会(仮)」代表が初めて語る「悪質ホスト問題」 売掛は本当になくなるのか、闇営業化しないのか

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「協力会」の苦い思い出

 すでに触れたとおり、北条氏は「歌舞伎町ホストクラブ協力会」の会長でもある。クラブ「愛」で知られる愛田武氏が初代の代表を務めた組織で、設立は2007年2月。同年4月に代表となった北条氏は2代目にあたる。当時の石原慎太郎都知事が打ち出した「歌舞伎町浄化作戦」を受け、みかじめ料の撤廃 や地域との連携を目指して作られた。

 ところが現在、公式ホームページとされているURLはすでに機能しておらず、誰のいたずらか、「歌舞伎町ホストクラブ協力会」のwikipediaには《今はもう崩壊している》という記述がある……。厳しい見方をすれば、この協力会が機能していれば悪質ホストに対応することも可能だったのではないか。

 その点は北条氏も「協力会は有名無実化してしまっている」と、苦い思い出になっていることを認める。

「統制がとれなくなってきたのは09年頃からでしょうか。設立当初は、暴力団の追放や悪質な客引きの撲滅などの活動を積極的に行ってきました。東京マラソンがあればホストが大会のジャンパーを着て応援したり、痴漢撲滅キャンペーンにホストが参加したりしたりもしたのです。ただ、活動には行政や警察署との連携が不可欠で、発足当初はそれぞれの代表が協力的でも、代が変わればどうしても方針も変わるわけです。そして浄化作戦によって、午前0時までの客の退店が厳守となりましたが、それで潰れたり経営が危うくなったりしたホストクラブも出てきた。会の活動が鈍ってくると、不満を抱いていた店は協力的でなくなってしまう。それで少しずつ空中分解してしまったというのが大きな流れです。継続的な組織作りができなかった反省は、来年の新団体の運営に活かすつもりです」

後編【悪質ホスト問題、「男の子を責める気は起きない」 ホスト協会会長がタイで見た“日本文化”としてのホストクラブ】へつづく

酒井あゆみ(さかい・あゆみ)
福島県生まれ。上京後、18歳で夜の世界に入り、様々な業種を経験。23歳で引退し、作家に。近著に『東京女子サバイバル・ライフ 大不況を生き延びる女たち』(コスミック出版)。主な著作に『売る男、買う女』(新潮社)、『売春論』(河出書房新社)など。X @sakai _ayumi333

デイリー新潮編集部

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