「死にたい」と言われたら、どうすればいいのか
自殺のリスクは分からない
それでは、「死にたい」と漏らす人のうち、実際に自殺する危険性が高いのはどのような人なのだろうか。
「例えば、ある人が1カ月以内に自殺する確率など、自殺の短期的な予測については、現在のところ確立した完璧な方法はありません。よく『死にたいと言う人は、本当は死なない』などと言われることもありますが、これは正しくありません。一方で、死にたいと言う人が必ず自殺するかというと、そういうわけでもありません。相談を聞いて元気になったように感じても、そのまま1人で家に帰しても本当に大丈夫かどうかは、実際には誰にも分からないのです」
ゼロリスクを目指そうとすることは、必ずしも得策ではないという。
「『こんな風に回復したら自殺しない』と言い切ることはできないので、1人で相談に乗ることは、とてもしんどいことです。相手が『死にたい』と言った時だけでなく、何も無い時にも関わりを持ち続けることも重要です。何が辛いのか相談に乗ることと同じくらい、何もないときに『美味しいものを食べに行こう』と誘ってあげることも重要です。なんでもない時に、ちょっとLINEを送るだけで、誰かの気持ちを楽にさせることができるかもしれません」
* 末木 新「政府公表「自殺者数減少」は真実か」(『「今どきの若者」のリアル』(山田昌弘・編著、PHP新書、第10章(P109~121)より)
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